立教学院(東京都豊島区、糸魚川順理事長)は来年創立135周年を迎えるのに当たって、記念プロジェクト「立教未来計画」を開始する。総額400億円にも上る同プロジェクトは、未来を支える人材教育を支援するため、各種奨学金の充実、英語教育の強化、充実したキャリア教育の整備などのほか、新たな学びの場として新教室棟の建設などを進める。先月末からは専用のウェブサイトをオープンし、今月から寄付募集も開始。本格的にプロジェクトが動き始めた。
創立135周年記念事業「立教未来計画 人と世界と未来のために、立教ができること。」のテーマは、「交流力。」 キリスト教精神に基づき同院が135年にわたって培ってきた「共に生きる力」を簡潔に表現したもので、力強いコミュニケーション力を身につけた持続可能な社会の創造に寄与する人材育成を様々な視点で目指す。
糸魚川理事長は挨拶で、「立教学院は、かつて米国聖公会から物心両面にわたる支援を通じて、多様な交流こそが時代を切り拓くことを学んできました」と同院の歴史を振り返り、「混迷する現代社会の中、多彩な人々や地域・文化・社会との交流を通じた人材の育成と未来の創造こそ、立教に課せられた使命」と強調している。
プロジェクトのシンボルマークは立教のアルファベット頭文字「R」と、漢字の「人」をモチーフにしたもので、「R」という文字の中に「人」という文字が浮き出ているデザイン。「人」づくりに重点を置いてきた同院の意志をイメージ化したものとなっている。
プロジェクトは、大きく「教学改革」と「教学環境整備」の2つに分かれる。教学改革では、「ムハマド・ユヌス奨学金」「尹東柱(ユン・ドンジュ)奨学金」「キリスト教学研究科奨学金」など、人材育成を支援する様々な奨学金プログラムを土台として、英語教育の強化、キャリア教育の充実、アジアの大学・NGOとの研究交流、50歳以上のシニア層向けのセカンドステージ大学の整備、キリスト教精神に基づく一貫連携教育の推進を進めていく。
一方、教学環境整備においては、大学では5つの新教室棟の建設、グランド整備を行い、中学校・高等学校では老朽化した校舎・体育館の全面建て替え、少人数教育の実現や多用な授業に対応できるような教室環境の整備、大学との共同利用可能な総合体育館の建設を行い、小学校では「自ら学べる環境づくり」をテーマに、小学校全体の設備整備計画が進められる。
これらの改革には向こう10年間で総額400億円の事業費が予定されており、「立教未来計画」は今後5年間でその基礎づくりを形にしていくというもの。そのために5年間で50億円の募金目標額が設定されており、募金期間は今月から2013年の10月末までとなる。個人、法人、団体レベルで受け付けており、募金期間終了後には寄付者全員の芳名録が作成される。