トルコのイスタンブールにある東方正教会のシンボル的大聖堂で世界遺産のアヤソフィアを、トルコ政府が7月10日モスクにすると発表した。
アヤソフィアは537年にギリシャ正教会として建立された。その後およそ千年近く、東方正教会の拠点としての役割を果たし、途方もないほどの宗教的歴史的重要性を帯びている。ちょうどカトリック教会のサンピエトロ大聖堂のような立ち位置となる。
しかし、1453年にイスタンブールがオスマン帝国皇帝メフメト2世によって征服されると、以後モスクとして転用される。
その後、オスマン帝国は滅亡し、その12年後の1934年に、近代トルコ共和国創設者のムスタファ・ケマル・アタテュルク初代大統領によってアヤソフィアの全ての宗教活動は禁止され、博物館として利用され今日に至っていた。
ところが現トルコ大統領のエルドアンは7月24日以降、イスラム教徒の礼拝を可能とした。
これに対し西側世界からは非難の声が上がっており、正教徒を多数擁するギリシャの文化大臣は「文明世界への由々しき挑発だ」と述べ、不快感をあらわにした。
エルドアン大統領は国内のナショナリズムに応えた形となるが、世界の世論、特に正教徒を多数擁する国々からの反発は必至だろう。グローバリズムへの反動から、ナショナリズムが高まっている世界的な傾向が背後にはある。
西欧世界への反発からこの地域では韓国人宣教師の活躍が目立つ。この地域の安定とともに、これらの宣教師らが活躍しトルコの福音化が進むように祈っていただきたい。
■ トルコの宗教人口
イスラム 96・6%
プロテスタント 0・03%
カトリック 0・06%
正教 0・03%
ユダヤ教 0・02%