世界福音同盟(WEA)は23日、イスラエルが7月1日に、パレスチナのヨルダン川西岸地区の一部を合併しようと計画していることに対し「深い懸念」を表明した。WEAはすべての国の自決権と自衛権を認めるとしつつも、合併計画は「イスラエル政府とパレスチナ自治政府間の話し合いによる和平合意に向けた希望を断つ危険性がある」と述べた。
WEAのエフライム・テンデロ総主事は声明(英語)で、イスラエルとパレスチナをめぐる問題については、福音派の中でもさまざまな見解があるとしつつも、「提案されている併合計画が、イスラエル人とパレスチナ人双方にとって有害なものであることは疑いの余地がない」と述べ、明確に計画に反対する姿勢を示した。
その上で、福音派の世界組織であるWEAには、イスラエルとパレスチナの両者を代表する福音同盟組織が加盟していると述べ、「イスラエルとパレスチナのキリストにある兄弟姉妹のためだけでなく、聖地に住むすべての人々のために平和と繁栄を求め、祈ります」と語った。
イスラエルのベニヤミン・ネタニヤフ首相は昨年秋の総選挙で、西岸地区のヨルダン渓谷と死海北部の地域をイスラエルに合併するとする公約を掲げている。この地域は入植地も多くあり、イスラエルの実質的な統治下にあり、西岸地区の約3割を占める。ネタニヤフ氏は公約通り7月1日に、これらの地域におけるイスラエルの主権を宣言し、合併を実施する考えを示しており、欧州各国の首相や米国のユダヤ人団体なども懸念を表明している。