日本バプテスト連盟は19日、新型コロナウイルスの影響で事業が低迷した中小企業を支援する「持続化給付金」の支給対象に、宗教法人や宗教団体を含める案が政府与党内で検討されたとの報道を受け、憲法の定める「信教の自由」と「政教分離原則」をまったく無視し、ないがしろにした姿勢だとして「断固抗議」するとの声明(18日付)を発表した。日本キリスト教協議会(NCC)靖国神社問題委員会も、同案は憲法の「政教分離原則」と「公の財産の宗教団体への支出の禁止の原則」を事実上緩め、さらに無力化につながることを危惧するとの声明(12日付)を発表した。
日本バプテスト連盟は声明で、宗教法人や宗教団体に公金を支出することは「重大な憲法違反行為」と指摘。国や地方公共団体が宗教団体に便宜を図ることは「目的効果基準」にのっとり違憲とした愛媛玉串料訴訟の最高裁判決(1987年)を挙げ、「たとえ感染症拡大のような危機を理由にしても、政教分離原則が無視され、宗教法人や宗教団体の自主独立性が侵されることがあってはなりません」とした。
同案は、自民党内からも違憲の疑いがあるとして反発があり、すでに見送りとなっている。声明は「今後、追加の支援政策が整えられるに際しても、宗教法人や宗教団体を対象とすることがないよう強く求めます」とした。
NCC靖国神社問題委は声明で、政府や地方自治体による宗教団体の宗教活動への公金支出は、「宗教団体の国に対する自主独立を阻害することにもつながる」と指摘。「政教分離原則」は、明治から敗戦にわたって国家神道体制が国によって推進された結果、各宗教団体の持つ独自の教義や理念の自主性が損なわれた歴史の教訓から定めたものであり、国から宗教活動への援助を受けることは「自らの教義の自主性を守るためにも、慎重であるべき」と強調した。