各国のイスラム教指導者や知識人の代表らを招き、バチカンが主催する宗教間対話の会議「カトリックとイスラムの対話促進フォーラム」が4日、始まった。朝日新聞が伝えた。
同フォーラムは、イスラム教の「聖戦(ジハード)」を批判したとされる06年のローマ教皇ベネディクト16世の発言により傷付いた双方の関係を修復することが狙い。バチカンの諸宗教対話評議会議長トーラン枢機卿と、ボスニア・ヘルツェゴビナのスンニ派イスラム法学最高権威ムスタファ・チェリッチ大ムフティを代表とする双方それぞれ29人が、「人間の尊厳」「信教の自由」などについて意見を交わす。最終日の6日にはベネディクト16世も代表らに会い、合同文書が採択される予定。
ベネディクト16世は06年9月、中世キリスト教皇帝の言葉を引用してイスラム教の暴力性とジハードを関連させて発言したことでイスラム諸国や信徒の怒りを招いた。この発言を受けて昨年10月、ヨルダンのガジ王子を中心に中東、東南アジア、欧州のイスラム学者、イランのシーア派指導者らがベネディクト16世やプロテスタント諸派、東方正教会などに宛てて「同じ神への信仰と隣人愛を共有する両宗教の対話」を訴える公開書簡を送付し、今年3月にフォーラム開催が正式決定した。