日本YMCA同盟や東京YWCAなど青少年教育に関わる5団体は4日、新型コロナウイルスの影響により、青少年の健全な成長のための機会が失われているとし、共同声明を発表した。自然の中で過ごす体験や学びの重要性を強調したほか、感染症の不安から生じる差別や偏見などへの「感染」にも強い危機感を表し、社会の分断を防ぐ活動が必要との考えを示した。
5団体はまず、感染予防対策を徹底して行い、新しい生活様式に沿ったプログラムを構築した上で、「自然体験活動」と「人材育成活動」の2つの青少年活動を再開するとし、その意義を説明した。
自然体験活動については、「五感で感じる生の体験は決してオンラインでは得られません」と指摘。活動で育まれる友情や協調性、相互理解などは、「子どもたちの健全な成長には必要不可欠であり普遍的」と強調した。人材育成活動については、青少年期が人格形成の重要な時期であることに触れ、「次代を担う青少年の健全な育成は、社会全体の責任」とし、家庭や学校以外における青少年教育団体として活動を再開するとした。
声明では次に、感染症の不安から引き起こされる「嫌悪・差別・偏見」が人々の心や家庭、社会に「感染」し、分断を引き起こすことに警鐘を鳴らした。こうした「病気以外の感染」を抑止するためのプログラムを、再開するすべての活動に取り入れていくという。
最後に、青少年活動の再開は「人間性の回復への取り組みであり、社会全体の使命」と強調。「行政、企業、地域の各団体に協力、支援を呼び掛け、次代を担うリーダーシップの育成に継続して取り組みます」とした。
共同声明を発表したのは、いずれも世界的なネットワークを持つ日本YMCA同盟、東京YWCA、ガールスカウト日本連盟、ボーイスカウト日本連盟、日本キャンプ協会の5団体。5団体は2011年から、キャンプ活動を通じた青少年育成を考える事業「出会いと体験の森へ」を共同で取り組んでおり、シンポジウムの開催やリーダーの交流などを行っている。