日本におけるカルヴァン研究の第一人者として知られる渡辺信夫(わたなべ・のぶお)氏=日本キリスト教会東京告白教会元牧師=が27日未明、東京都内の病院で死去した。96歳だった。葬儀は親族・教会関係者のみで行う。
1923年大阪府生まれ。京都大学文学部哲学科卒業。文学博士(同大)。学徒出陣により、43年から敗戦まで海軍服役。戦後49年に伝道者となり、58年から東京都世田谷区で開拓伝道を開始。日本キリスト教会東京告白教会を設立し、2011年まで同教会の牧師を務めた。その後は、日本キリスト教会の牧師として諸教会に奉仕していた。自身が実際に戦争に関わった立場から、戦争体験を元にした実体験の証し、戦争罪責の追求を長年にわたって行ってきた。
宗教改革者ジャン・カルヴァンの主著『キリスト教綱要』(1536年初版)の訳者と知られ、カルヴァンに関する書籍を含め、著書・訳書を多数出している。著書に『教会論入門』『教会が教会であるために』『カルヴァンの教会論』『アジア伝道史』など。訳書に、カルヴァンの『ローマ書註解』『創世記註解』、ヴィルヘルム・ニーゼルの『教会の改革と形成』『カルヴァンの神学』、エミール・レオナールの『プロテスタントの歴史』など。