民本主義思想家で東大YMCA理事長などを務めた吉野作造氏の指導により設立された東京都墨田区の賛育会病院が今年、創立90周年を迎えた。これを機に同会の橋本章理事長は、「吉野博士の実践したキリスト教的な隣人愛を支えに今日に至った」との一文を吉野記念館が刊行した「吉野作造研究第4号」に寄稿した。毎日新聞が伝えた。
橋本氏は「吉野作造博士と賛育会」のタイトルで寄稿。戦前、戦後から現在にまで繋がる吉野氏の人間性と賛育会設立などの社会的功績を示した。
同病院は1918年、当時吉野氏が理事長を務めていた東大YMCAにより「賛育会妊婦乳児相談所」として設立されたのが始まり。庶民を対象にした日本初の産院とされ、昨年度末までに生まれた子どもは32万人に上る。現在は医師不足が叫ばれる中、「地域周産期母子医療センター」として重要な役割を担っている。