アングリカン・コミュニオン(全世界聖公会)に属する聖公会の主教が世界各地から集まり、10年に1度開かれる「ランベス会議」が、新型コロナウイルスの影響により1年延期されることが決まった。開催地である英国の状況や世界的な渡航制限、また会議出席のために司牧教区を空けることの影響などを考慮して決めたという。
ランベス会議は、全世界の主教が集い、祈りと聖書の学び、交流のひとときを持つとともに、教会また社会のさまざまな課題について話し合う場。アングリカン・コミュニオンの霊的最高指導者であるカンタベリー大主教(英国国教会)が、全世界の主教を招待して開かれる。1867年に第1回が開催されて以来、ほぼ10年に1度の頻度で開かれ、今年7月22日~8月2日に第15回が開催される予定だった。カンタベリー大主教公邸のランベス宮殿(ロンドン)で開かれてきたことからこの名称で呼ばれているが、近年は参加主教の増加に伴い、英南東部ケント州カンタベリーのケント大学をメイン会場に開かれ、主教の配偶者も共に招待される。
今年の会議はもともと2018年に計画されていたが、同性愛の聖職や女性主教に関する意見の対立などにより2年延期。さらに今回、新型コロナウイルスの影響によりもう1年延期される形となった。ランベス会議の公式サイト(英語)によると、今年の会議には、世界165カ国から主教とその配偶者、計千人以上が参加し、過去最大の規模になる見込みだった。
ランベス会議は、過去にも延期された例がある。1918年に開催予定だった第6回会議は、第1次世界大戦の影響で2年延期され、1920年に開催されている。一方、1948年には、第2次世界大戦のただ中で第8回会議が開催されている。
「ご存じのように、私たちの信仰と行動が試されるのは、物事が順調な時ではなく、難局においてです」。カンタベリー大主教ジャスティン・ウェルビーは、延期を発表する動画の中でそう述べ、新型コロナウイルスがもたらしている世界的な影響に言及した。また、今年の会議の主題書簡であった「ペトロの手紙一」から、「神の羊の群れを牧しなさい」と勧める5章1~2節を引用。「困難な時に主教のいるべき場とは、羊の群れが狼(おおかみ)に襲われているときに羊飼いがいる場です。彼らと共にいて、彼らに寄り添い、彼らを愛し、共に苦しむ場です」と語った。
一方、会議は延期するものの中止はしないと断言。「祈り、御言葉を学び、神の言葉を聞き、癒やし、(会議のテーマである)『神の世界のための神の教会』についての新鮮なビジョンを得るために、集まることがこれまでにないほど重要です」と強調した。
会議は来年夏、今年予定されていたのとほぼ同じ時期に開催する計画で、詳細は後日発表するとしている。また延期に伴い、来年までに新たに叙任される主教も会議に参加可能となる。