風邪により一部の公務をキャンセルしていたローマ教皇フランシスコ(83)が、新型コロナウイルスの検査を受けていたことが分かった。イタリアのメッサジェロ紙が3日、伝えた。結果は陰性だったという。
教皇は、四旬節(レント)初日の「灰の水曜日」(2月26日)のミサや、日曜日正午の「お告げの祈り」(3月1日)などで、せき込む姿を見せ、週末に予定していた多くの公務をキャンセルしていた。
また、お告げの祈りでは、風邪を引いたとし、毎年恒例の「四旬節の黙想会」(3月1~6日)に今年は参加しないと表明。この黙想会は、ローマ近郊アリッチャでバチカン(ローマ教皇庁)の高位聖職者らを対象に毎年行われているもので、教皇は代わりに自宅としているバチカンのサンタ・マルタ館で黙想の時を持つという。
メッサジェロ紙によると、教皇は風邪の症状が出た後、新型コロナウイルスの検査を受けた。
バチカンを取り囲むイタリアでは、新型コロナウイルスの感染が欧州で最も広がっており、一般謁見などで人々と握手をしていた教皇の感染を疑う声もあった。バチカンは、こうした憶測を否定していたが、検査結果を伝えた同紙の報道についてはこれまでのところ、公式なコメントは出していない。
イタリアでは3日までに、新型コロナウイルスの感染者が2502人となり、死者も79人に上っている。一方、感染者の9割は同国北部に集中しており、教皇が風邪の症状を見せ始めた当時はまだ、中部の首都ローマでは感染者は確認されていなかった。