新型コロナウイルスの感染拡大を受け、キリスト教界でも対策が活発化している。教団や教区単位でガイドラインを発表したり、各種行事や一部期間のミサ中止、勤務時間の短縮や在宅勤務で対応したりするなど、さまざまな動きが出ている。
教団やキリスト教団体、注意喚起や行事中止で対応
カトリック教会は、教区単位で注意喚起を行ったり、各種行事や一部期間の公開ミサを中止したりするなどして対応している。27日までに、公開ミサの原則中止を発表しているのは、札幌、さいたま、東京、福岡の4教区(いずれも期間は2月27日~3月14日)。この他、多くの教区で感染防止策の方針を示しており、広島教区では、感染の症例がある都道府県や海外からの移動者・渡航者にミサ参加の自粛を求めるなどしている。
日本聖公会横浜教区も、3月1日、8日の主日礼拝は休止し、3月12日まで礼拝、集会は小規模のものに限定することを決定。日本基督教団やセブンスデー・アドベンチスト教会は、留意事項や注意喚起を文書で通知。日本アッセンブリー・オブ・ゴッド教団は、新型コロナウイルスに関するガイドラインを発表し、国の専門家会議による「今後の1〜2週間が瀬戸際」とする見解を、当面3月下旬まで、教会、教区、各部・各委員会・各室の諸活動の判断の基準とするよう呼び掛けている。
日本福音ルーテル教会は、注意喚起と対策の指針を文書で示すとともに、第27回春の全国ティーンズキャンプ(3月24~26日)を中止。27日には、3月1日に予定していた教職授任按手式も同20日に延期し、開催場所をルーテル東京教会からルーテル博多教会に変更すると発表した。イムマヌエル綜合伝道団も同日、「1カ月後に感染の危険が劇的に改善されるとは考え難い状況」だとし、3月25~27日に予定していた「年会」を中止・延期すると発表した。
お茶の水クリスチャン・センターは、主催・共催する3月31日までの集会などの中止・延期を決定。ハンガーゼロは、愛知事務所で2月29日に開催予定だった交流イベントを延期し、新型コロナウイルスの流行が落ち着き次第、開催の情報を知らせるとした。聖書同盟は、3月7日に予定していた第52回CSK中学科教師研修会を中止し、可能であれば日を改めて開催したいとしている。
ハーベスト・タイム・ミニストリーズは、イスラエルからの講師来日が難しいことから、5月5日に予定していた「イスラエル聖書大学特別公開講座『メシアニック神学の混乱と展望』」を中止。日本キリスト教協議会(NCC)加盟団体のアジア保険研修所は、3月7日に予定されていた「アジアの平和・食と文化フェア」を中止した。
キリスト教主義大学の対応、対策本部設置するところも
青山学院大学は25日、大学・学部が主催する宿泊・飲食を伴うイベントなどの中止・延期を決定。同日時点で実施予定のイベントなどについては、十分な配慮と対応を行うが、急きょ中止になることもあると説明した。また、中国の湖北、浙江両省への渡航歴があったり、渡航歴のある人と接触したりした人、発熱や呼吸器症状がある人には参加の自粛を呼び掛けている。
関西学院大学は、1月末に緊急対策本部を設置。学生向けに「注意事項」を通知し、感染予防だけでなく、海外からの帰国者や感染者が不当な扱いを受けないよう配慮するよう呼び掛けている。また、3月に予定されていた大学卒業式、大学院学位記授与式は中止し、入学式など4月以降の各種行事・活動についても、今後の状況を踏まえて対応を発表するとしている。
同志社大学は、海外渡航予定者や中国から帰国・来日する学生や職員に注意を喚起。上智大学も、海外渡航や、海外からの帰国および招聘(しょうへい)について、感染予防に留意するよう伝えている。
国際基督教大学(ICU)は、3月20日に予定していたオープンキャンパスを、来場形式から、一部のプログラムをオンラインで配信する形式に変更することを決めた。27日にはガイドラインを発表し、中国への渡航を原則禁止。やむを得ず、外務省指定の感染症危険レベル2、3の国や地域に渡航し、帰国する場合は、帰国後2週間は、寮生も含め、原則学内に入らないよう伝えた。
東北学院大学は、同学院史資料センター主催の公開講演会や法学部入学前ガイダンス、第22回TG杯柔道大会、企業研究セミナーなどの中止を決定。卒業式(3月24日)と入学式(4月2日)は、卒業生や新入生のみの参加とし、保護者は臨席しないこととした。
西南学院大学は27日、新型コロナウイルスの感染症対策本部を設置。3月31日まで、大学主催のイベントや集会、課外活動団体などが主催する合宿や試合、互いの距離が十分に取れない立食パーティー、懇親会などのイベントなどは原則、延期または中止することを決めた。
勤務時間短縮や業務の一部休止で対応
日本聖公会は、管区事務所の就業時間(午前9時半~午後5時半)を、2月27日から3月13日までの約2週間、午前10時から午後5時までに短縮。救世軍は、職員の在宅勤務とラッシュアワーを回避した通勤を組み合わせた感染予防を目的として、本営の営業時間を午前10時から午後3時までに変更した。日本FEBCは、2月27日から3月6日までの期間、献金や注文代金などの入金確認、MP3ディスクなどの各種注文への対応、電話での問い合わせなど一部業務を休止する。日本キャンパス・クルセード・フォー・クライスト(CCC)は、2月27日から事務所スタッフは在宅勤務としており、電話応対が困難なため、連絡が必要な場合はメールか手紙を使うよう求めている。
ワールド・ビジョン・ジャパンは27日、2月28日から3月13日までの間、電話受付時間を午前11時から午後3時に変更すると発表した。ただし今後の状況次第で、期間を延長・短縮する場合があるという。ウェスレー財団は、団体職員を対象に時差出勤と在宅ワークを2月27日から3月6日まで実施すると発表。CWSジャパンは、3月13日まで在宅勤務制度を活用したリモートワーク、テレビ会議、時差通勤などの対応策を実施するとしている。