福音派の世界組織である「世界福音同盟」(WEA)は10日、イランの軍事指導者ガセム・ソレイマニ司令官が米軍に殺害されたことで緊張が高まっている中東情勢に関して声明(英語)を発表した。
声明では、特に両国や各同盟国に対し、対立をさらにエスカレートさせないよう要求。また、一般市民や福音派の信者に対しては、それぞれが政治的、イデオロギー的主張をする場合でも、他者を「貶めたり、軽視したり、非人間的な扱いをしたりしない方法」でそれを行うよう求めた。
一方、米国がイランに課している経済制裁については、「一般市民に釣り合いの取れない影響を与えている」とし、対話の進展とともに、早期に解除されることが望ましいという立場も示した。
また、ソレイマニ司令官が殺害され、米軍基地があるイラクで、キリスト教徒に対する弾圧が強まるのではないかと懸念。「イラクのキリスト教徒、また他の宗教共同体を保護するには、国際社会からの平和と安定に向けた活発な支援が必要」と述べた。
声明の本紙による日本語訳は、以下の通り。
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最近の中東における暴力に関する世界福音同盟の声明
世界福音同盟(WEA)は、米国とイラン間の最近の侵略的かつ攻撃的行動に深い悲しみを覚えます。WEAは、両国またその同盟国の指導者たちに対し、敵意を促すレトリックに対抗し、現在の危機をエスカレートさせないよう呼び掛けます。私たちは対話を促します。それは、さらなる危機を防ぎ、一般市民に釣り合いの取れない影響を与えている制裁を取り除くことにつながります。
私たちはまた、それぞれの人間は神の形にかたどられ、固有の尊厳があるという信仰に導かれ、また和解の使者になるという聖書的責任に従って、世界のすべての市民、特に福音派の人々に呼び掛けます。貶めたり、軽視したり、非人間的な扱いをしたりしない方法で、政治的、イデオロギー的相違を表現するようにと。
イラクで展開している暴力は、同国に住むキリスト教徒の存在をさらに脅かします。イラクのキリスト教人口は、2003年以降、劇的に減少してきました。イラクのキリスト教徒、また他の宗教共同体を保護するには、国際社会からの平和と安定に向けた活発な支援が必要です。またそれは、米国とイランに対し、事態をエスカレートさせず、対話を求めることへの責任を求めます。
WEAは、イランの政治・軍事指導者、またイラクと米国、そしてこの地域のすべての指導者と人々のための祈りを求めます。彼らが、平和の道へと導く天からの平和的な知恵を求め、それを持つように。そしてその認識の中に、対立をエスカレートさせないこと、対話、真実の再確立、また中東に付きまとってきた暴力と死の連鎖を終わらせることがあるように祈ります。
私たちは祈りと仲裁によって、天になるごとく、この地に平和が訪れるよう働き続けます。
監督 エフライム・テンデロ
世界福音同盟 総主事兼CEO