ロシア正教会トップのモスクワ総主教キリルが来年9月、来日する。日本正教会を創建した聖ニコライの列聖50周年と、日本正教会の自治教会承認50周年を記念するためで、日本の政治指導者や天皇とも面会する予定。ロシアのスプートニク通信(英語)が24日、伝えた。
キリル総主教は同通信に、日本正教会トップのダニイル主代郁夫(ぬしろ・いくお)府主教から招待を受けたことを明かし、「日本の正教の歴史と、両国の霊的な連帯において大切な日を記念するため、共に祈る心を持って、2020年9月に日本を訪れる予定だ」とコメント。また「日本とロシアの伝統ある組織同士の交流は、両国間の平和的な対話のためにも重要な可能性を持つ」と述べ、日本とロシアの正教会間の交流の重要性を強調した。
日本に正教が伝えられたのは19世紀後半。日本での伝道を志していた青年・聖ニコライが1861年、ロシアから来日したことで本格化した。聖ニコライは初め、函館を拠点に伝道したが、その後東京に移動。それから教勢は目覚ましく発展し、1891年には東京復活大聖堂(通称・ニコライ堂)が建設された。しかしその後は、日露戦争やロシア革命、第2次世界大戦などにより、日露関係が悪化。各国の正教会も大きな影響を受けた。だが、冷戦緩和後には対話が再開し、1970年には日本正教会がモスクワ総主教の庇護の下、自治教会として承認された。また同年、聖ニコライが日本の守護聖人として列聖された。
キリル総主教は、これまでも度々来日している。最近では、府主教時代の2000年と08年、また総主教に就任してからは2012年に来日している。12年の来日は、聖ニコライの没後100周年を記念するもので、前年発生した東日本大震災の被災者も見舞うなどした。