福音派を中心とする全米4万5千教会のネットワークを形成する米国福音同盟(NAE)は17日、米ミネソタ州セントポールで理事会を開き、韓国系米国人のウォルター・キム氏(51)を新会長に選出した。白人以外が会長に選出されるのは、1942年のNAE創設以来初めて。
キム氏は現在、米バージニア州シャーロッツビルにあるトリニティー長老教会の牧師を務めている。NAEの会長には来年1月1日に就任するが、その後も同教会の牧会チームの一員として牧師の働きは継続する。同教会の前には、200年余りの歴史があるボストンのパークストリート教会で15年間牧会経験を積んだ。同教会はNAE創設時にも重要な役割を担った。キム氏自身は、2013年からNAEの理事を務め、NAEが主催するイベントや出版に携わり、倫理問題や教会生活、人種的和解、性に関する問題など、さまざまな課題に取り組んできた。
米ノースウェスタン大学で学士号(哲学、歴史学)、カナダのリージェント大学で修士号(神学)、米ハーバード大学近東言語文化研究科で博士号(Ph.D)を取得。アメリカ長老教会(PCA)と保守会衆派キリスト教会議(CCCC)で牧師としての資格を有する。各種集会で講師として活躍しており、米クリスチャニティー・トゥデー誌の理事も務めている。
NAE理事会のロイ・テイラー議長は、「実績のある牧師であり、学者であり、ソートリーダー(思想的指導者)でもあるキム氏は、これらの能力を十分に生かして、この米国福音同盟の今後10年を導くことでしょう」とコメント。キム氏の選出を歓迎した。
キム氏の選出は、2006年から会長を務めているリース・アンダーソン氏が今年2月、任期満了を迎える今年末で退任する意向を示したことで行われた。アンダーソン氏は「キム氏は、人々の人生に影響を与え、地域社会を変革し、文化を変える福音に対してとても情熱的で、その情熱は多くの人たちに伝わっていくことでしょう」と述べ、期待を示した。
一方、キム氏は「米国福音同盟は、善きことに対して極めて重要な影響力を持つ組織であり、謹んでこの奉仕に当たります。私たちには、福音を証しし、そのために働くという差し迫った召命があり、この組織を導くことを委ねられたことは非常な光栄です」と語った。
理事会ではこの他、新議長にグレナーデン第一バプテスト教会牧師(メリーランド州)のジョン・ジェンキンス氏を、新副議長にウェスレアン教会(米インディアナ州に本部を置くメソジスト派教団)名誉総監督兼大使のジョー・アン・リオン氏を選出した。2人は現在、NAEの執行委員会のメンバーで、ジェンキンス氏は理事会の副議長も務めている。2人は来年3月に開催される次期理事会以降、新しい役職に就く。