死刑が確定していた東京拘置所の庄子幸一死刑囚(64)と福岡拘置所の鈴木泰徳死刑囚(50)の刑が2日、執行されたことを受け、日本カトリック正義と平和協議会は同日付で、安倍晋三首相と山下貴司法相に宛てた抗議声明を発表した。声明は、「尊いいのちが国家の手によって奪われたことに対して強く抗議します」としている。
確定判決によると、庄子死刑囚は、神奈川県大和市で2001年、主婦2人を相次いで殺害し、金品を奪うなどした。鈴木死刑囚は、福岡県内で04年末から05年初めにかけて、女性3人を殺害して現金を奪うなどした。それぞれ収容先の拘置所で死刑が執行された。
カトリック教会は昨年、死刑に関する教義を変更。これまでは積極的に肯定しないまでも、限定的に認めていたが、「人格の不可侵性と尊厳への攻撃」だとして、死刑を全面的に容認しない立場を表明していた。声明はこうした経緯に言及した上で、「刑罰制度の厳格な適用により、死刑以外の方法で、犯罪の再発を防止し、社会の安全を確保することが可能になってきた今の時代、人間のいのちの尊さという原点に立って、死刑制度はその存在理由をもはや失ったと考えている」と述べた。
日本のカトリック教会内には、死刑廃止を訴える声が長年にわたってあるとし、「いのちの尊さをイエス・キリストから学んだ私たちは、たとえ困難ではあっても、回心とゆるし合い、真の和解へとつながるための希望を大切に考えています」と主張。「残酷でいつくしみに欠ける刑罰である死刑の廃止と、それに向けた執行の即時停止を強く訴え続けます」と述べた。