「海の日」を、命の尊さを思い起こす「産み」の日にしようと、人工妊娠中絶への反対をアピールするデモ行進「マーチフォーライフ(March for Life)」(同実行委員会主催)が海の日の15日、カトリック築地教会(東京都中央区)を出発点に行われた。300人近くが集まり、日比谷公園までの約1時間の道のりを、「中絶やめよう」「いのちの始まりは受精の瞬間」などと書かれたプラカードを手に練り歩いた。
行進の前には、カトリック築地教会でミサが開かれた。参列者は、「受精の瞬間から始まる人の命は、その一つ一つが神のかたどりであり似姿であるという真理を、多くの人々と分かち合わせてください。『命の文化』の実現のために、日本の教会が社会を変える現実の力として働くものとなることができますように」と祈りをささげた。
1948年7月13日に現在の母体保護法の前身である優生保護法が成立したことを覚え、「小さないのちを守る会」の辻岡健象代表らクリスチャンの有志が呼び掛け人となり、5年前から毎年欠かさずこの時期に行ってきた。年々参加者が増えており、今年はカトリック教会から鹿児島教区司教の中野裕明神父と大阪教区補佐司教の酒井俊弘神父の2人の司教が地元から駆け付け、デモに加わった。
「小さないのちを守る会」は1984年の発足以来、望まない妊娠に思い悩む人々に寄り添いながら、キリスト教精神に基づいてプロライフ(中絶反対)を訴えてきた。辻岡氏は、「プロライフの大切さを理解してプロテスタントとカトリックが一緒に活動できていることはとても良いこと。命はすべてのすべてだと思うとき、この働きは広がっていく。政治家の人も喜んで参加されていて、さまざまなところでプロライフの運動が根を張ってきている。ぜひこの働きを皆で応援してほしい」と話した。