【ロンドン=CJC】英聖書協会が「聖書スタイル・ガイド」を刊行した。記事を書いたりテレビで話す際の決まりなどを盛り込んだ「スタイル・ブック」を持っている新聞社や放送局は多いが、聖書に関する記事に絞って、しかも聖書協会が作ったことは注目される。
同時多発テロを契機に、世界中のメディアがユダヤ教、キリスト教、イスラム教の三大一神教に注目するようになった。激変する政治、経済、社会状況を追跡する時に、その背景としての宗教に触れざるを得ない。さらにその聖典としての「聖書」に言及しなければならなくなった。欧米のメディアでは見出しに「聖書」が出て来ることもまれではない。
英聖書協会が、聖書に関して正しい情報が伝わるように、とスタイル・ガイドを企画したのも、関係する動きが急進展している中で、記者がその動きについて行けるように配慮してのことと言う。
インターネット時代とあって、ジャーナリストやブロードキャスターだけでなく、ネット上で発信する「ブロガー」も意識して、簡便なパンフレットの体裁で、いつでもすぐに利用されることを想定している。英国で活動している記者たちには無料贈呈しているが、ネット上でダウンロードも出来る。協会はさらに聖書に関するブログも開設した。
「聖書スタイル・ガイド」は、当然のことながら英語だが、語順に従って、アブラハムからシオニズム、シオニストまで112項目を29ページに収めた部分が中心。ただ聖書自体についても、注解、翻訳などの解説も加えた。
「特殊創造説とかシオニズムについて報じようとしている時、また新約聖書の書簡や使徒について知りたい時、手初めの役に立つことを願って作成した」と執筆者のデービッド・アシュフォード氏(同聖書協会開発部長)は語った。
「聖書スタイル・ガイド」では、イエスの誕生は本当はいつか、からインテリジェント・デザインは特殊創造説と同じものか、キリスト者は聖書の中の暴力的な個所をどう扱えば良いのか、といった問題も取り上げられている。特殊創造説について報じる時に、神が文字通りに6日で世界を創造したということに焦点が合いがちで、進化論を否定するために聖書を利用している、などの偏りを是正しようと企画された、という。聖書理解も広い視野に立っている。