米プロテスタント最大教派の南部バプテスト連盟(SBC)は11日、アラバマ州バーミンガムで開催した年次総会で、人種差別で告発された教会や、性的虐待に対して適切な対処を怠った教会は除名とすることを圧倒的多数で可決した。
11、12の両日にわたって開催された年次総会の初日、加盟教会から選出された代議員らは、民族性に基づく人種差別や性的虐待に対し、適切な対処を怠ったり、隠蔽したりした教会を除名し、SBCと「友好的な協力関係にない」と見なす教憲の修正案を可決した。また、これまで代議員の登録手続きなどを行っていた資格審査委員会に、これらの嫌疑を受けた教会を調査し、対処勧告を行う権限を与え、常設化することも可決した。
SBCのニュースサイト「バプテスト・プレス」(英語)によると、SBC執行委員会のロニー・フロイド委員長は採決後、代議員らに次のように述べた。
「これは、SBCの歴史において非常に重要な瞬間だったと思います。私たち一人一人がこの結果を神に感謝する必要があると思います」
「SBCがあらゆる形態の性的虐待に反対することを、この世界が知りますように」とフロイド氏は述べ、「4万7千の加盟教会に、数千の群れを加えた5万2千弱の教会からなるこの連盟が、性的虐待に対する考えと、米国や世界の人種差別に反対することについて明確なシグナルを示したことを、この世界が知りますように」と続けた。
バプテスト・プレスによると、資格審査委員会は、執行委員会委員長、登録担当主事、執行委員会の推薦を受けた3人、推薦委員会の推薦を受けた4人からなる9人で構成されることになる。
総会に出席したSBC倫理宗教自由委員会の地域宣教責任者を務めるトリラ・ニューベル氏は12日、ツイッターで次のようにコメントした。
「昨夜、一人の女性が私に駆け寄って言いました。『あなたにハグしたいです』。また彼女は続けて言いました。『10年前の14歳の時、私は被害者としてSBC(の総会)に来ました。私は父でもある牧師に虐待されていましたが、今日は勝利者として来ています』と。私は彼女の顔と驚くばかりの喜びを決して忘れないでしょう」
デルレイ・バプテスト教会(バージニア州)のギャレット・ケル牧師は、人種差別に反対する修正案の可決を歓迎し、次のようにツイートした。
「SBCの代議員によって今日可決された修正案は、まさに奴隷制度に関して人種差別主義的な立場で1845年にSBCを創設した教会を、協力関係から除外することになるでしょう。私はこの進歩に励まされています」
南部バプテスト神学校(ケンタッキー州)のアルバート・モーラー学長はツイッターで、次のように述べた。
「これは、SBCの今総会が取り扱うべき最も重要な案件であり、このような動きが圧倒的な力で行われることは本当に大切です。これは意義深いスタートです。この時代において、SBCには常設の資格審査委員会が必要です」
バプテスト・プレスによると、今回の総会では、資格審査委員会がこれまで担っていた業務を引き継ぐ登録委員会の新設も決まった。
フロイド氏は「何かが正しいやり方で行われていないと思われるとき、私たちは常にそれを変えることができます」と述べる一方、「しかし、神に感謝します。私たちは今日、再び明確なシグナルを具体的な言葉で送りました。これは単なる言葉の問題ではなく、行いの問題です」と続けた。その上で、SBCに加盟する諸教会に「神に関する事柄と互いの取り扱い方において忠実」であるようにと呼び掛け、「今日、神がなされたことの故に神に栄光がありますように」と語った。