辞意を表明した英国のテリーザ・メイ首相に対し、英国国教会トップのカンタベリー大主教ジャスティン・ウエルビーは「称賛と感謝」を表明した。メイ氏は6月7日に与党・保守党の党首を辞任し、その後の党首選で後任が決まるまで、首相の職に留まる意向という。次期首相は保守党の党内手続きを経て、7月末までに決まる見通し。ウエルビー氏は声明で、英国では今、国民生活が危機的な状況にあるとし、政治指導者のために祈るよう国民に呼び掛けた。
ウエルビー氏は「大きな変化があったこの不確実な3年の間、メイ氏は決断力と対応力、そして揺るぎない公的責任感を示してきました」と評価。「それは全国民に対する奉仕で、私たちの称賛と感謝に値するものです」と語った。
「メイ氏が数カ月後に辞任する準備をしている今この時、私たちは彼女と夫のフィリップ氏のために時間を取って祈らなければなりません。フィリップ氏による揺るぎない支援は、周囲の人々に新体制へのスムーズな移行を保証するものだからです」
「毎日、全国の教会で、私たちは政治家のために祈ります。政治家に知恵と導きと力が与えられ、彼らが公共の利益のために努力するよう祈ります。また、政治家の心と健康が守られて、地域社会や国益のために役割を果たすよう祈ります。また、彼らの家族のためにも祈ります。公的な生活から来る重荷を担うからです」
「国民生活が危機的な状況にある今、信仰の民はすべての指導者のために祈りに専念すべきです。また、指導者の下で善意をもって取り組むすべての人たち、特に弱さを持つ人や疎外されている人たちのためにも祈るべきです。私たちクリスチャンは、誰もが豊かな人生を生きるというキリストの希望に満ちたビジョンに基づいてこの社会が形作られるよう祈るべきです」
聖職上院議員(英国議会の貴族院〔上院〕に議席を持つ26人の英国国教会の主教)を招集するバーミンガム教区のデイビッド・アーカート主教は、次のように述べた。
「メイ氏は、非常に困難な時期にこの国に献身的に仕えてきました。彼女とフィリップ氏が、首相官邸を出た後の生活に向けて備えられるよう祈っています。私は首相に感謝しています。特に、彼女が任期中に政府に与えた優先順位にです。政府は現代の奴隷制度の悪に対処し、世界規模の信教の自由に意識を向けました」
「メイ氏は今日(5月24日)の声明の中で、私たちに妥協の重要性を思い起こさせてくれました。政治家と英国議会は、これまで以上に国民を団結させることに意識を向けなければなりません。特に欧州連合(EU)離脱に伴う道筋のために。それが、次期首相が直面する最大の課題となるでしょう。私の願いと祈りは、秩序のある移行が行われ、全国民が国や地域の生活で公共サービスを受け続けることです」