イースター(復活祭)の21日朝、スリランカの教会やホテルなど8カ所で発生した連続爆発テロ事件を受け、世界の教会指導者らがコメントを発表し、事件を非難するとともに、遺族や被害者、スリランカ国民に対して連帯の意を示した。一連の事件では、スリランカ最大の都市コロンボを中心に、カトリック教会2軒と福音派教会1軒、外資系ホテル3軒などが被害に遭った。
死者は日本時間22日午後1時までに290人に上り、負傷者も約500人に上るとみられている。スリランカ外務省によると、死者には36カ国の外国人が含まれており、日本人も1人死亡したと伝えられている。
カトリック教会
「祈りの内に集まる中で傷を負った(スリランカの)キリスト教共同体、またこのような残虐な暴力の犠牲となったすべての人と共にある私の思いを心からお伝えしたい」
バチカン放送局(英語版)によると、ローマ教皇フランシスコは21日、バチカン(ローマ教皇庁)のサンピエトロ大聖堂で、イースターの「ウルビ・エト・オルビ」(祝福の言葉)を述べた際、最後にこのように語った。
教皇は、スリランカの連続爆発テロが「深い嘆きと悲しみ」をもたらしたとし、「悲劇の内に亡くなったすべての人々を主に委ねます。負傷した人々、またこの悲劇的な出来事のために苦しむすべての人のために祈ります」と語った。
一方、コロンボ大司教マルコム・ランジス枢機卿は、「われわれすべてにとって、非常に、非常に悲しい日だ」とコメント。遺族や被害者に哀悼の意を示すとともに、「多くの死と苦しみを人々に与えたこの行為を、最も強い言葉で非難する」と述べ、政府に対しては公正で強力な捜査を行い、事件に関わった犯人を見つけ出すよう求めた。
聖公会
英国国教会(聖公会)のカンタベリー大主教ジャスティン・ウェルビーは、ツイッターで次のようにコメントした。
「スリランカの教会とホテルに対する極めて悪質で卑劣な攻撃により被害を受けた人々は、世界中で今日、イースターの主日礼拝を持つ数百万人の人々の祈りの内にあります。この聖なる日に、われわれはあらゆる暴力、あらゆる憎しみ、あらゆる分裂に反対し、祈りの内に、また哀悼と連帯の内にスリランカの人々と共に立ちましょう」
スリランカの聖公会であるセイロン教会は、コロンボ主教ディロラジュ・カナガサベリーと、クルネガラ主教カーシシリ・フェルナンドが連名で声明(英語)を発表した。2人は遺族や被害者への哀悼の意を示すとともに、政府に対しては事件の迅速な究明と犯人に対する厳正な処置を要求。スリランカ国民に対しては次のように呼び掛けた。
「われわれはこの時、すべてのスリランカ国民に対し、心を配り、忍耐と理解を持って行動するよう求めます。また、公共の安全と被害者の治療に当たっている治安や医療関係者に引き続き協力するよう求めます。(そうでなければ)わが国の調和と一致にダメージを与え、国を不安定にさせるという、この悪質な行為を計画し実行した、ひねくれて歪んだ心を持つ人々の思惑通りになってしまいます」
世界教会協議会
世界110カ国以上の約350の教団・教派が加盟する世界教会協議会(WCC)も、事件を受けて声明(英語)を発表。オラフ・フィクセ・トヴェイト総幹事は声明で、「このような方法で教会を狙ったことは、宗教的な調和と多様性を維持するために長年に苦闘してきたスリランカの宗教的な平和と調和、また社会的・文化的な基盤に対する攻撃です」と語った。特に、被害に遭った教会のうち、コロンボにあるカトリック教会「聖アンソニー教会」は、他宗教からも深い尊敬を集め、多様な宗教から多くの訪問者があった教会だったという。
トヴェイト総幹事は事件を強く非難する一方、「暴力が暴力を生むべきではない」と主張。「このイースターの日に、われわれはキリストの愛の精神にあって、暴力や憎しみ、死は、最終的には力を持たないという信念を固く握ります」と語った。
世界福音同盟
世界129カ国の福音派教会やキリスト教団体が加盟する世界福音同盟(WEA)のエフライム・テンデロ総主事は、事件を受け次のようにコメント(英語)した。
「イースターの礼拝に来られた方々や罪のない方々を狙った襲撃の知らせを受け、私たちは深く悲しみ、当惑しています。主イエス・キリストの復活を祝う私たちは今、この心ない暴力で複数の人命を失い、嘆き悲しんでいます。被害を受けた方々のために祈るよう、世界中の教会に求めます。神の力強い慰めの臨在が、惨劇に巻き込まれた方々と共にありますように。渦中の方々が神の助けによって復活の信仰に留まり、あらゆる理解を超えた平安を受けますように」
スリランカの約200の福音派教団・教派やキリスト教団体が加盟するスリランカ福音同盟(NCEASL)も、事件を受けて声明を発表。スリランカの国民とキリスト教共同体に対しては、冷静な対応を取り、噂による混乱を避けるよう呼び掛け、世界の教会に対しては、爆発により身近な人を亡くした人々や負傷した人々のために祈り、支援するよう呼び掛けた。