ロシア正教会の聖人にも列せられる、帝政ロシア最後の皇帝であったニコライ2世が、当時のボリシェヴィキ政権による弾圧の犠牲者であったとし、ロシア最高裁は1日、その名誉を回復する裁定を下した。時事通信が伝えた。
同通信によれば、ニコライ2世らロマノフ家は当時「犯罪」を犯したとされ、共産党支配体制の正当化のために利用されていたが、最高裁幹部会は同日、ニコライ2世らとその家族は「根拠なく弾圧された」と断じた。
ニコライ2世らはウラル地方エカテリンブルクの「イバチェフ館」に監禁されていたが、1918年、同地へ反革命軍が近づき、皇帝が奪回されるのを恐れたボリシェヴィキ政権は一家の殺害を命令。皇帝一家7人と従者3人、侍医1人はイバチェフ館の地下で銃殺され、遺体は硫酸やガソリンなどをかけられて焼かれ、森の中に埋められた。ソビエト連邦崩壊後の94年、発見された遺体が本人たちのものであることが確認され、2000年、ニコライ2世はロシア革命時の犠牲者として家族や他の犠牲者とともにロシア正教会により列聖された。
イバチェフ館の跡地には現在教会が立っており、「血の上の教会」と命名されている。