ハリウッド俳優でプロライフ(中絶反対派)のエドゥアルド・ベラステーギ氏が、メキシコの故郷の町に世界最大のキリスト像を建てる計画を進めている。
ベラステーギ氏は、キリスト教映画「リトル・ボーイ」(2015年)や、プロライフ映画「ベラ」(06年)などに出演したメキシコ人俳優で、敬虔なカトリック信者でもある。
英字ニュースサイト「メキシコ・ニュース・デイリー」(英語)によると、キリスト像は、北東部タマウリパス州の州都シウダービクトリアに建てる計画で、建立のために建築家のフェルナンド・ロメロ氏を雇ったという。費用や財源の詳細は明らかにされていないが、カトリック教会の関係者によると今年初めに着工する予定。
シウダービクトリアはメキシコでも最も危険な地域の1つで、10万人に83・32人の割合で殺人が起きているという。ベラステーギ氏がキリスト像建立に乗り出した理由も、同州の治安問題にあるようだ。キリスト像が「平和のキリスト」と命名されていることから、そのことが伺える。
計画されているキリスト像は、ブラジルのリオデジャネイロにある「コルコバードのキリスト像」(土台を含め高さ約38・1メートル)の約2倍の約76・8メートルになる予定。現在、世界最大のキリスト像の記録を保持しているのはポーランドのシフィエボジンにある「クライスト・ザ・キング」で、王冠や土台を含め、高さ約52・5メートル。ロメロ氏がデザインしたキリスト像も、他のキリスト像と同様、両腕を大きく広げた姿をしているという。
メキシコ・ニュース・デイリーによると、地元の土地開発業者らは、建設予定地一帯を、特別イベントなどで最大1万人動員可能な観光スポットにしようと計画している。予定地周辺には、教会やレストラン、商店街やコンベンションセンター、巡礼者用の休憩所、ホテル、円形劇場、手芸品市場、駅、住宅街などの建設も構想されている。
米フォックス・ニュース(英語)によると、ベラステーギ氏は、キリストが自身の人生を変えたのと同様に、キリスト像が治安の悪い同地域を変貌させることを期待している。
「私が生まれてきたのは俳優になるためではなく、キリストを知り、キリストを愛し、キリストに仕えるためであることを理解するようになりました」。ベラステーギ氏は2003年のインタビューでそう述べている。またこれより前には、より多くのキリスト教映画やプロライフ映画を制作することを誓っている。
アルゼンチンの大手紙「クラリン」(スペイン語)によると、ベラステーギ氏はローマ教皇フランシスコにもキリスト像の建立計画を説明することを考えているという。
世界にあるキリスト像は他に、内戦で分裂状態にあるシリアの山上に平和の象徴として建てられたブロンズ製のキリスト像(土台を含め高さ約32メートル)などがある。また、比較的小型のキリスト像としては、イタリアのマラテアにある「クリスト・レデントール」(救世主キリスト)や、ベトナムのブンタウに立つ「ブンタウのキリスト」、スペインのバレンシアにある「クリスト・デル・オテロ」などがある。