英国国教会(聖公会)の霊的最高指導者、ローワン・ウィリアムズ・カンタベリー大主教は、26日発売の英保守系誌「スペクテーター」最新号への寄稿で、米国同様に大きな影響が出ている金融危機について、「利益の裏づけがない空証文の取引が大被害をもたらした」と指摘。金融界の仮想現実の拡大を、「偶像礼拝に相当する」と批判した。
カンタベリー大主教は同誌への寄稿で、現在の金融取引のあり方に不信を表明。「独立して存在する実際の事実について、自らが作り上げた現実に根拠を求めることは、まさにユダヤ教やキリスト教の聖典が偶像礼拝とする定義に一致する」として、金融界の仮想現実の拡大を酷評した。
また、カンタベリー大主教は寄稿の中で共産主義者のカール・マルクスについても言及。「マルクスはずっと以前に、規制のない資本主義は神話のようなものとなり、実体のないものに現実性や影響力を与えるという点に気づいていた。他の見解を除けば、その点に関しては正しかった」とその分析を一部認め、全面規制は必要ないとしながらも、金融市場の適切な規制と公共の利益を確保することの必要性を強調した。