28日に行われたローマ教皇の一般謁見で、耳の不自由ななわんぱく坊やが会場を和ませる一幕があった。
バチカンの「パウロ6世記念ホール」でこの日に開かれた一般謁見で、教皇フランシスコが演説する中、母親の手から逃れた男の子が、教皇のいる壇上にまで上ってしまったのだ。男の子は、教皇の前にいることなどお構いなしに、教皇が座る椅子の周りを回ったり、教皇の隣に立つスイス衛兵の手を取ったりし、さらに男の子の妹も壇上に上ってしまう始末。
男の子を連れ戻そうとした母親が、男の子の耳が不自由であることを教皇に告げると、教皇はそのまま遊ばせておくように告げた。
そして数百人の巡礼者に対し、「この子は話すことができません。耳が不自由なのです。でも、意思を伝えることはできます」と説明。「私は男の子を見て、思わされたことがありました。それは彼が自由だということです。わんぱくですが、彼は自由です」と笑みを浮かべながら話した。
さらに「私は考えさせられました。自分は神の前でこれほど自由だろうかと」と続け、「イエス様が子どものようになりなさいとおっしゃるとき、それは、お父さんの前で子どもが持つような自由を、私たちも持つ必要があるということです。この男の子は、私たちみんなに説教してくれたようです。(神の)恵みによって、彼が話せるようになるようお祈りしましょう」と述べた。
男の子の一家はアルゼンチン出身だという。それを知った同じく同国出身の教皇は、隣に腰掛けていたゲオルク・ゲンスバイン大司教(教皇庁公邸管理部室長)に、「男の子はアルゼンチン人だそうです。(どうりで)しつけが悪いわけだ」と、ほほ笑みながら冗談も語った。