ケニアのデニス・アウォリ駐日大使が20日、都内で開かれたVIPクロスカルチャー・コンセプト主催の集会で特別ゲストとして参加した。講演でデニス大使は、昨年末のケニア暴動について「(ケニアに)もし神への信仰がなかったら、これほど大きな課題をここまで早期に解決することはできなかっただろう」と神の平和の力を証しした。
ケニアは40を超える民族で構成される多民族国家であるが、デニス大使によると、国内のクリスチャン人口は現在約8割に上る。キバキ大統領もオディンガ首相も信仰熱心なクリスチャンだ。大統領の一般教書演説など、国の重要な行事の前には必ず祈りをささげるほか、多くの学校では朝に祈りをもって授業を始め、夕方には祈りをもって授業を終える。国に何か重要な課題があれば、政治家たちはまず祈り、神に解決を求めてから行動を開始する。
ケニアでは教会が地域のコミュニティーにおいて重要な役割を果たすだけでなく、教育や医療、そのほかの様々な社会問題に対しても大きな影響を与えている。教会指導者は教壇から社会問題に対する鋭い意見を述べ、時には世俗の指導者にも助言を行う。
昨年12月末には、大統領選挙をきっかけに1カ月間で死者1000人以上、国内避難民約30万人が発生する大暴動が起きた。この騒動においても教会の牧師が自ら立ち上がり、政治家や一般市民に対して和解と一致を呼びかけていた。デニス大使は、「ケニアでは宗教の果たす役割は非常に大きいもの」と語る。
デニス大使自身も信仰熱心なクリスチャン。家庭ではいつも家族が一つになって祈りをささげている。ビジネスでも大きな成功を収めたが、「イエスが常に力を与えてくれた」「これらのことを当然のこととは思っておらず、いつも神に感謝している」と語り、実生活に密着した信仰を証しした。
集会では、アイヌの伝統を伝える酒井美直さんもゲストとして参加し、ケニアの多民族性と対比して一民族、一国家という神話のもとで抑圧されてきた日本のアイヌ問題を取り上げた。主催者は、「一国家の中で、多様な民族、文化の尊厳を認め、なおかつ一致を持たせるには、クリスチャンの信仰と祈りが不可欠」と語った。