米国務省は19日、「世界各国の宗教の自由に関する2008年版年次報告書」を発表し、北朝鮮で金正日総書記や故金日成主席に対する個人崇拝が存在し、国教のようになっていると指摘。「宗教の自由がほとんど尊重されないという状況に変わりない」と非難した。共同通信が伝えた。
同通信によれば、報告書は北朝鮮について「金正日(総書記)と父親(故金日成主席)に対する個人崇拝は政権の重要な基盤となっており、国教のようになっている」と指摘。同省は昨年の報告書でも、「(両氏に対する)個人崇拝が、政治体制の重要なイデオロギーとなっている」「憲法上は宗教の自由が認められているが、本当の意味での自由はない」と批判しており、依然として宗教の自由に対する改善が見られないとの見解を示した。
「特に懸念のある国」に指定されたのは昨年同様に、北朝鮮、中国、ミャンマー、エリトリア、イラン、サウジアラビア、スーダン、ウズベキスタンの計8カ国。中国については北京五輪開催中に、政府非公認の教会が閉鎖されたり、集会が禁じられた例があったと指摘。3月に発生したチベット暴動にも言及した。
同省は3月には世界各国の人権状況についてまとめた報告書を発表しており、北朝鮮、キューバ、ミャンマーなど10か国を「世界で最も組織的な人権侵害国」に指定している。昨年まで指定されていた中国は、司法改革などで一定の評価を与えられ除外されたが、北朝鮮については「圧制」「孤立国家」であるとした上で、「国民生活のほぼあらゆる面を管理している」とその人権状況に大きな問題があることを指摘した。
今回発表された世界各国の宗教の自由に関する報告は、米国務省の国際宗教自由委員会(USCIRF)が毎年9月中旬に発表するもので、宗教の自由が著しく損なわれている国は「特に懸念される国」に指定され、経済制裁などを科す際の根拠とされることがある。