9月18〜19日に北朝鮮の首都・平壌で行われた南北首脳会談に、韓国側の代表団の一員として、韓国キリスト教教会協議会(NCCK)や世界教会協議会(WCC)の指導者も同行したことを、WCCが4日、公式サイトで明らかにした。
WCCによると、韓国側の代表団は社会のさまざまな分野の代表者53人で構成され、NCCK総幹事の李鴻政(イ・ホンジョン)牧師と、WCCアジア議長の張裳(チャン・サン)牧師も一員として、文在寅(ムン・ジェイン)大統領と共に平壌を訪問した。
韓国の文氏と、北朝鮮の金正日(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長による会談は、両国の軍事境界線上にある板門店(パンムンジョム)で4月と5月に開かれた会談以来3回目。文氏は、韓国の大統領としては盧武鉉(ノ・ムヒョン)氏以来11年ぶりに平壌を訪問した。
NCCKは声明で、文、金両氏の首脳会談の結果を歓迎。両国の国防トップが署名した「歴史的な板門店宣言の履行のための軍事分野合意書」と、両国間の軍事的敵対を効果的に終わらせるための南北軍事共同委員会の創設への支持を表明した。
またNCCKは、経済的・人道的協力に関する合意、特に離散家族の再会を「最優先課題」と位置付けることを支持。北朝鮮北西部にある東倉里(トンチャンリ)のミサイルエンジン試験場と発射台を解体するという金氏の約束が、米国と北朝鮮の関係改善につながることに期待を示し、金氏の決定を歓迎した。
一方、WCC国際問題教会委員会のピーター・プルーブ局長は9月29日、米ニューヨークのコロンビア大学で開催された「2018年南北朝鮮世界平和フォーラム:南北朝鮮と世界の平和と繁栄」で基調演説を行い、1953年に交わされた朝鮮戦争の停戦協定に代わる平和条約への移行の必要性を強調し、次のように語った。
「停戦は平和ではありません。この地域における停戦状態は、冷戦時代の敵対と緊張の永続化や朝鮮民族の継続的な分裂、地域的かつ世界的に壊滅的な紛争への最も高いリスクの温床となっています。
希望がいつ崩壊するかもしれない今この時、朝鮮戦争の痛ましい歴史を終わらせ、朝鮮半島の現状に対する斬新的介入を促す手段として、朝鮮戦争停戦協定に代わる平和条約に向けた取り組みが最も重要だと、WCCは確信しています。平和条約の交渉プロセスは現在のあらゆる課題や論争が解決されるまで延期すべきではなく、平和条約の交渉プロセスに着手することは『平和の配当』(軍事費削減による剰余金を他の目的に割り当てること)を生み出し、現在の課題を解決するための確信と信頼の構築に貢献することになるのです」