スイスの聖ベネディクト教会などを設計したことで知られる建築家、ピーター・ズントーさん(65)が、日本美術協会(会長代行:日枝久フジテレビ会長)が毎年世界の優れた芸術家に贈っている第20回高松宮殿下記念世界文化賞の建築部門で入選した。同協会が16日発表した。
1943年、スイスのバーゼルで家具製作を生業とする家庭に生まれたズントーさんは、幼い頃から大工仕事に親しんで育てられた。バーゼルの造形学校や米国のプラット・インスティチュートで学び、歴史的建造物の修復作業などにも協力。今回は、商業主義にくみせず、精神性を感じさせる教会や美術館など、場所と用途にふさわしく美しい建築を希求したと評価された。
スイス・スンヴィッツにある聖ベネディクト教会は、ノアの箱舟をモデルとした「船型」の教会で、構造はシンプルであるが、建築雑誌でも多数取り上げられ、スイスを訪れた建築家の多くが見学に行くなど、高く評価されている建物。昨年には、ドイツのブリューダー・クラウス・フィールド・チャペルや聖コロンバ教会博物館新館などを手がけた。日本では建築セミナーなどで来日し講演を行うなどしている。
同賞には建築部門を含めて計6つの部門があり、絵画部門ではリチャード・ハミルトン(86、英国生まれ)、彫刻部門ではイリヤ・カバコフ(74、旧ソ連生まれ)、音楽部門ではズービン・メータ(72、インド生まれ)が選ばれ、演劇・映像部門では歌舞伎俳優の坂田藤十郎(76、京都市生まれ)が選ばれた。