米国のクリスチャンバンド「ユナイテッド・パスート」の元メンバーで、現在、インフルエンス教会(カリフォルニア州)のワーシップリーダーを務めるマイケル・ケトラーさん(40)が4日、米国の人気オーディション番組「アメリカズ・ゴット・タレント」で決勝進出を決めた。
実子1人と養子5人の計6人の子を持つケトラーさんは、この日放送された準決勝(第1週)のステージで、マイリー・サイラスの「When I Look At You」を披露。11組が出場する中、マジシャンのシン・リムさん、空中ブランコデュオの「デュオ・トランセンド」、一人コメディアンのサムエル・J・コムローさん、オーストリアのアクロバティックグループ「ズーカロー」と共に、決勝進出を決めた。
ケトラーさんは、8月28日放送の準々決勝(第3週)では、ジェイムス・ベイの「Us」を感動的に歌い上げた。このステージで、オーディションに挑戦したのは、子どもたちに夢がかなうことを示したかったからだと話すと、審査員の1人でソニー・ミュージックエンタテインメントの著名音楽プロデューサーであるサイモン・コーウェル氏は、息を詰まらせ涙した。
自身も4歳の息子を持つコーウェル氏は、ケトラーさんを「驚くべき人間」とたたえ、涙ながらに次のように語った。
「マイケル、同じ父親として僕は君がどれほど頑張ってきたか想像すらできない。君にとってこの番組に出ることが本当に必要だったんだと思う。君は本当に特別な人のようだね。君がどんな思いをしているか僕には分からないよ」
ケトラーさんが出演した準々決勝翌日の8月29日には、キリスト教の映像伝道団体が運営する動画サイト「アイ・アム・セカンド」(英語)で、養子を迎えた感動的な逸話を収録したケトラーさんの動画が公開された。動画の中でケトラーさんと妻のアイビーさんは、里子紹介所を通して5人の息子を養子に迎えた親としての経験を力強く証ししている。
自分自身、父親が常にいたわけではないケトラーさんにとって、父親という役割は馴染みのないことだった。しかし、養子として迎えた子どもたちから「父親の愛情に圧倒的な癒やしの力」があることを示されたという。
ケトラーさんは6月、同番組の予選でビージーズの「To Love Somebody」を披露。番組の製作総指揮も務めるコーウェル氏から、「ゴールデン・ブザー」(審査員と司会者が各1回だけ授与でき、受けると準々決勝進出資格が与えられる)を授与されている。
6月のステージでもケトラーさんは、「私が出場したのは家族のためです」と、自身の家族を話題にした。
「人生は長いので、人は必ずしも夢を見続けることができません。うちの子たちのように、養子として育った子は特にそうです。そういう子たちに一番望ましいことは、自由に夢見ることのできる家庭環境と安らぎを提供することです。
私がこの番組に出場したのは、父親である私が子どもたちの夢をかなえることで、彼らに不可能なことは何もないことを示したかったからです」
インフルエンス教会のウェブサイト(英語)によると、ケトラーさんは他の3人の音楽奉仕者と共に「インフルエンス・ミュージック」というバンドを組んでおり、同教会付属のレコード会社も運営している。同バンドは今年5月、デビューアルバム「Touching Heaven」をリリースしたばかりだ。
ケトラーさんは2014年にカリフォルニア州に移住したが、それ以前はテネシー州でクリスチャンバンド「ユナイテッド・パスート」の一員として活動していた。
アメリカズ・ゴット・タレントは、11日に準決勝(第2週)が行われ、別のファイナリスト5人を選ぶ。18日に放送される決勝では、激戦を勝ち抜いてきた計10組が各自最高のパフォーマンスで優勝を目指す。