エジプト北部で現地時間7月29日朝、コプト正教会の修道院長が死亡しているのが発見され、現地の警察が殺人事件として捜査を進めている。
遺体で見つかったのはアンバ・エピファニウス主教で、エジプト北部の町ワディナトルーンにある聖マカリオス修道院の修道院長を務めていた。
エジプトのコプト教系週刊紙「ワタニ」(英語)は修道士らの話を伝えており、それによると、主教は夜明けに自室を出て、日曜日の聖体礼儀前に行う早課(正教会の奉神礼の一つ)に向かう途中に、何者かに後ろから重たい鋭利な物体で殴られたとみられている。AP通信によると、主教は頭部を損傷しており、背中にも複数の傷跡があったという。
英国コプト正教会のトップであるアンバ・アンジェロス主教は、事件を受けてツイッターに次のようにコメントした。
「私たちの兄弟であり友である聖マカリオス修道院の修道院長エピファニウス主教の悲劇的な死を悼みます。主教は親切で温厚な人柄で、忠実な羊飼いであり、コプト正教会の神学者でした。主教の霊が安らかに憩い、修道士たちにも慰めがあるよう祈ります」
コプト正教会の教皇タワドロス2世は声明を発表し、エピファニウス主教は謙遜と柔和に満ちあふれていたと述べた。
コプト正教徒はエジプトの人口の約2割を占めており、同国内の宗教的少数派としては最も大きい。しかし、制度的な差別や暴力による襲撃を頻繁に受けている。
聖マカリオス修道院はエジプトの首都カイロと、北部に位置する同国第2の都市アレキサンドリアの間に位置し、キリスト教の最初期に隠遁(いんとん)生活を送ったとされる聖マカリオスの死後、弟子たちにより紀元360年に創設されたとされる。