アルコールやドラッグ、ギャンブルなどのさまざまな依存症で悩む家族を支援しようと、依存症について学ぶセミナーが7日、埼玉県の吉川市民交流センターおあしすで開かれた。聖書に基づいたプログラムで依存症者の回復を支援するティーンチャレンジ・ジャパンの木崎智之代表が講演し、市民ら約30人が参加した。木崎氏は、「依存は何かに寄りかかった状態。寄りかかっているものを取っても、また何かに依存する」と説明し、依存症の根本的な解決は「自立」と語った。
ティーンチャレンジは、1958年に米国から始まった団体で、現在では世界110カ国に1100以上の更生センターがあり、更生率86パーセントという驚異的な実績を持つ。日本では2005年から活動が始まり、現在は岡山と沖縄にある2カ所のセンターで独自の更生プログラムを実施している。これまで20代から30代を中心に、依存症に苦しむ多くの青少年たちの社会復帰に関わってきた。
講演で木崎氏は、依存症のメカニズムや依存症者の思考パターンなどを分かりやすく解説した。重度の依存からの回復についても「方法はあります」と語り、家族が対応する際の具体的な方法について、成功事例を挙げながら詳しく説明した。
依存症者に合わせて家族の生活習慣を変えてしまうなど、助けているつもりがかえって依存を助長してしまう「イネイブリング」や、依存症者との関係性に過剰に依存してしまう「共依存」の問題も取り上げ、注意を促した。「過保護、過干渉は自立を妨げてしまう。自分で考えて行動し、その結果を受け止めること。これを繰り返すことで人間は自立していく」と話した。
ティーンチャレンジの更生プログラムが目指すのは、本人がやりがいのある仕事を見つけ、幸せな家庭を築くことだ。「何かをやめさせることに重点を置くのではなく、どうやったらその人が本当に幸せになれるのか、『生きててよかった、この人生でよかった』と思える人生を見つけるお手伝いをしている」と語った。
ティーンチャレンジでは、電話やメールでの無料相談を随時受け付けているほか、依存症者を抱えた家族のための対応マニュアルを1冊千円(税・送料別)で配布している。詳しくはホームページを。