上智大学(東京都千代田区)と関西学院大学(兵庫県西宮市)は20日、「連携及び協力に関する包括協定」を締結し、上智大で調印式と両大学長による記者会見を行った。協定締結により、学部学生を一定期間相互に派遣し受け入れる「国内学生交換」の実施や、すでに一部で協力して行っている国際ボランティアにおける関係強化、また2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックに向けての取り組みなどで力を合わせていく。さらに両大の共通項であるキリスト教主義と国際性、隣人・社会・世界に貢献するという理念を軸に、教育や研究面だけでなく、大学の運営面においても情報交換などを通して協力を進めていく。
少子高齢化が加速する中、学生の確保や国際化は日本の大学共通の課題。関西学院大の村田治学長は、今は各大学が単独でこれらの課題に取り組む時代ではなく、互いに協力する時代だとし、協定の意義を強調。協定を結ぶ上では、共にキリスト教精神に基づき、国際性の高い教育研究を展開しているなど、両大の共通項を重要視したと説明した。大学の運営面の協力については、上智大のガバナンスを評価し「勉強させていただければ」と語った。
上智大の曄道(てるみち)佳明学長は、学生数は関西学院大が2倍近く多いながらも、より規模の大きい他大学と比較した場合、共通点が多いと説明。少子化問題や財務上の課題、他機関との連携、社会貢献などについて「具体策を各個で探りながらも情報交換することで相乗効果を期待している」と語った。
上智大は先月、同じくキリスト教主義を掲げ、国際教育を重視する国際基督教大学(ICU、東京都三鷹市)と包括協定を締結している。会見では、それぞれ共通点が多いことから3大学間の協力に関する質問も出た。これについては両学長とも可能性は否定しなかったものの、現時点ではまだ何も具体的な話し合いなどは行われていないと語った。
国内学生交換については、村田氏は、関西学院大の卒業生の約半数が東京で就職していることを挙げ、一定期間でも東京で学生生活を送れることは大きなメリットだとした。曄道氏は、東京は世界的に見ても特異な都市だとし、国際性・多様性を重視する教育を行う上で、東京が主体となり過ぎてはいけないとして、日本の別の地域で学ぶことの意義を語った。
国際ボランティアについては、国連ボランティア計画(UNV)との協定の下、関西学院大が主体となって、学生を開発途上国へボランティアとして派遣する「国連ユースボランティア」が行われており、上智大も連携校として参画してきた。これ以外にも両大は国際ボランティアに関わる個別のプログラムを多数実施しており、今後は共同のプログラム展開について検討を進める。
東京オリンピック・パラリンピックに向けての協力については、両大は共に同組織委員会とすでに連携協定を結んでおり、それぞれが個別の取り組みを行っている。両大とも重視しているのはパラリンピックへの協力で、曄道氏は「メガスポーツイベントの成功に学生を立ち会わせたい」と語った。