ローマ教皇フランシスコは20日、6月29日に枢機卿会議を開催し、カトリック大阪教区の前田万葉(まえだ・まんよう)大司教(69)を含む14人を新たな枢機卿に任命すると発表した。日本人の枢機卿は、故濱尾文郎枢機卿に次いで6人目。故白柳誠一枢機卿が2009年12月に死去して以来の日本人枢機卿となる。バチカン放送(英語版)などが同日伝えた。
教皇フランシスコはこの日、バチカン(ローマ教皇庁)のサンピエトロ広場に集まった巡礼者や訪問者を前にした「アレルヤの祈り」の後に新枢機卿の任命を発表。選出された14人の出身は、イラク、パキスタン、ポルトガル、ペルー、マダガスカル、イタリア、スペイン、ポーランド、メキシコ、ボリビア、日本の11カ国。教皇は、新枢機卿の出身地が多様性に富んでいることについて「この地のすべての男女に向けられた神の慈愛深い愛を知らせ続ける、カトリック教会の普遍性を示す」と語った。
前田大司教は1949年、長崎県新上五島町生まれ。75年に司祭に叙階され、長崎教区の幾つかの教会を司牧担当。91〜94年長崎教区報「よきおとずれ」編集長。2001〜06年平戸ザビエル記念教会主任、平戸地区長、長崎教区顧問。06年にカトリック中央協議会事務局長となり、広島教区司教をへて、14年に大阪教区大司教に就任した。
枢機卿は教皇の最高顧問で、カトリック教会において教皇に次ぐ地位にある。重要な案件について教皇を直接補佐する枢機卿団を構成するほか、個々の枢機卿はカトリック教会全体に関わる日常的な職務について教皇を助ける。バチカンの要職も多くは枢機卿が担っている。選出は教皇自身が行い、任期はない。教皇選挙(コンクラーベ)の投票権を有する80歳未満の枢機卿は現在、世界に約110人いる。
日本の歴代枢機卿は下記の通り。敬称略。( )内は任命年と没年。職位は任命当時。
土井辰雄(1960年、70年) 東京大司教
田口芳五郎(1973年、78年) 大阪大司教
里脇浅次郎(1979年、96年) 長崎大司教
白柳誠一(1994年、2009年)東京大司教
濱尾文郎(2003年、07年) 教皇庁移住・移動者司牧評議会議長(元横浜司教)