世界各国で数万人規模の伝道集会を開催している福音伝道者、レイモンド・ムーイ氏が20日、都内で講演した。約100人の聴衆を前に、自身が伝道の現場で体験した力強い神の御業を語りながら聖書の言葉を解き明かし、「あなたに神への信仰があるならば、恐れがあなたを支配することはない」と力を込めた。
ムーイ氏はマレーシア出身。生後間もなく親に捨てられ、孤児院で育った。自らの誕生日も、生みの親の顔も知らない。絶望の中からキリスト教に出会い、米国の神学校を卒業して牧師となった。マレーシアで設立した神学校は、瞬く間に東南アジア5カ国へと拡大し、今では毎年500人以上の卒業生を世界各国に送り出している。
特に福音宣教が困難とされるミャンマー、タイ、カンボジア、インドネシアなどアジア各国で先駆的な伝道の働きを展開しており、集会では毎回、顕著な癒やしの奇跡が起こされている。伝道者として、アジアの政財界の指導者たちにも大きな影響力を持っている。
講演でムーイ氏は「神の言葉は繰り返し恐れるなと語っている。あなたの人生の中に何が起ころうと、神を信じることを選び取るべき」と強調し、ヒンズー至上主義者による激しい迫害の中で行ったインド伝道での体験談を語った。
さまざまな困難の中で、首都ニューデリーでの伝道の機会がまさに閉ざされようとしていたとき、一度に何千人もの聴衆に福音を語る道が不思議な方法を通して開かれたという。ムーイ氏は「神の働きだけは止めることはできない。神は全能のお方。イエスはすでに悪魔に勝利しておられる。主の言葉に従うならば、たとえどんな危険に遭遇したとしても、主は必ず勝利を与えてくださる」と語った。
ムーイ氏は「私たちに恐れる理由はない。恐れによってあなたの信仰の歩みをとどめてはいけない。あなたの人生は必ず祝福される。神の勝利を体験しようではありませんか」と呼び掛けた。
この集会中にも、多くの参加者が癒やしの奇跡を体験した。30年間蓄膿(ちくのう)症を患っていたという男性は、集会中に症状が急に治まったことを証しした。また、3年前から膠原病(こうげんびょう)を患っているという女性は、祈りの中で顔と喉の大きな腫れが引いていったことを、「信じられない」と涙を流しながら証しした。