「キリストを知り、キリストを知らしめる」をモットーに、大学生や社会人への伝道と弟子づくり宣教を行っている国際ナビゲーターのキャンパス部門では、今月六日からサマープログラムとして米国より十三人の学生を含む十七人が来日、約二か月間日本各地のキャンパスで伝道活動を助ける。
国際ナビゲーターは、イエス・キリストに照準を合わせて信仰生活を同伴者として共に歩む(ナビゲート)働きをする宣教団体として現在世界百二十か国以上で活動中。創設時の一九三三年は米海軍への宣教が目的だったが、その後学生、ビジネスマン、少数民族などへと伝道の対象を拡大してきた。
日本では五一年に活動を開始し、キャンパス部門が本格的に始まったのは六一年から。現在は、宇都宮、東京、福岡など、全国七つの大学で活動している。
六六年に第一回が行われたサマープログラムも、ここ数年は毎年行われている。学生主体の伝道チームは東京でオリエンテーションを行った後、九日から仙台、東京、宇都宮、福岡の各キャンパスで活動している。
ナビゲーターのキャンパス伝道は、「BESTクラブ」と呼ばれるサークルを通して行われる。まず学生との良好な関係と雰囲気を作ることを目指すためだ。BESTクラブはBible、English、Sports、Travelの頭文字をとったもので、この四つを活動の中心として毎週多彩なイベントを計画し、学生との交流を深めている。
キャンパス宣教の中心地である宇都宮大では、毎週火曜から金曜にバイブル・ディスカッションとして少人数による聖書の勉強会が開催される。一人のスタッフに対して三〜八人の学生が集まり、聖書から一箇所を選んでスタッフが背景を説明した後、学生たちからの質問をうけながらディスカッションを進めていくというもの。同大の代表であるブラウン・ギブス宣教師は、学生たちが自分の価値観や世界観を磨き視野を広めながらイエス・キリストの愛に気づいてほしいと話している。
同大では、この他にスポーツ大会や英会話、「ベストの時間」と呼ばれる交わりをもっている。九月には米国、三月にはマレーシアでの海外研修プログラムも用意。現地ナビゲーターや大学が受け入れ先となり、交流している。
ブラウン宣教師は、キャンパスでは単に福音を伝えるだけではなく、対人関係を大切にするように心掛けている。一人でも多くの学生たちがイエス・キリストに出会い、一生を通して弟子として生きていってほしいとブライアン宣教師は述べた。そのためには、BESTやナビゲーター以外にも全ての大学で福音を伝えようとする日本人のクリスチャンがいることを望んでいるという。今後はキャンパスでの働きを通して、強い信仰を持ったクリスチャンが育ち、ビジネス分野で証しする人や、フルタイムのスタッフとして働く人材が与えられればと語った。
ナビゲーターでは、キャンパス部門だけでなく、二十代の独身者や三十代以上の既婚者を対象としたコミュニティー部門も仙台、東京、大阪など全国六箇所で展開中だ。スタッフは米国や韓国からの宣教師が約半数を占め、キャンパス・コミュニティー部門は合計で約六十人が奉仕している。
国際ナビゲーターの日本総責任者楠田高久氏は「どうすれば社会の一番中心的な層に福音を浸透させられるかに関心がある」と述べ、「そのためには次の世代の働き人をしっかり訓練すること」とキャンパス部門の重要性を強調した。また、大学卒業後も継続して信仰を成長させていくことが出来るようにと、キャンパススタッフが卒業後も交わりを継続する努力をしているという。
楠田氏は、伝道も重要だが、一人一人のクリスチャンがいかにクリスチャンにふさわしい生き方をするかも大事であり、個人の霊性の成長に深くかかわって生きたいという。その点で、日本の教会は福音化のためにいろいろ試みてきたが、単に伝道の技術を教えるだけでなく、いかに自分自身が福音の生を生きるか、そしてその生き方によって神様を証することが出来るように教えることも大事ではないかと語った。ナビゲーターでは、そのために個人的な関わりや生活の中での交わりを重視。イエス・キリストを中心としてその周りに、祈りとみ言葉、交わりと証しがある「車輪の生」と呼ばれる型を生のモデルとして、マン・ツー・マンやフォローアップを重んじている。
楠田氏は、このように霊的関係を大切にして弟子を訓練しながら、スピリッチャル・トランス・フォーメーションがやがて日本の宣教を変えてゆくのではと語った。
キャンパスは一つのステージであり、長期的な視野で見ていくことが重要だという。働き人が現れれば、高校生など若年層への伝道も進めていきたいとのこと。大学生が社会に出たばかりの時期は、人生の様々な問題にもっとも直面し易く、この時期に福音にあってどう生きるかを教えることが、信仰を根付かせるために重要だと語った。