中国の「家の教会」(政府非公認教会)の牧師2人が、教会の献金を違法に集めたとして、約700万元(約1億2千万円)の罰金を命じられた。
米国に拠点を置くキリスト教迫害監視団体「チャイナエイド」(英語)によると、罰金を命じられたのは、中国南部・貴州省にある家の教会のスー・ティヤンフー牧師とヤン・ファー牧師。2人は昨年5月に告訴され、裁判所が先月になって判決を下した。両牧師は、集めた献金は教会のために用いたと説明したが、裁判所は2人の「違法な収入」と見なした。
チャイナエイドによると、この家の教会は2009年の設立以降、中国の法律に従って、すべての宗教活動を当局に報告していたという。しかし、政府当局者は頻繁にこの教会を標的にし、15年12月にはヤン牧師を逮捕、司法妨害と公的秩序を乱すために群衆を集めた疑いがあるとして告訴した。
ヤン牧師の妻は、釈放の日に彼を迎えに行ったが、黒いフードを被されたヤン牧師が無認可の車両に乗せられたと主張。それから1カ月後、ヤン牧師は国家機密漏洩(ろうえい)容疑で告発された。
ヤン牧師は拘留中に拷問を受け、家族もまた、ヤン牧師が昨年1月に2年6月の禁錮刑を言い渡される前に、脅迫を受けたという。
山東省を拠点に活動するザオ・ヨンリン弁護士は、当局者がヤン牧師を虐待し、自白させたと非難している。
「国家機密とされたものは、市の臨時行政特別委員会が、立石教会の破壊を求めるために用意した文書でした。しかしこの破壊自体が違法であり、代わりに暴露されるべきだったのです」
同じくヤン牧師を弁護するチェン・ジャンガン弁護士は、中国政府が政治的迫害を行っていると言う。
チェン氏は米ラジオ局「自由アジア放送」に、「刑務所で1日を過ごすことさえ、無罪の人にはあまりにも重過ぎます」と指摘。「このことについて、私にはたった1つのことだけ言えます。これは裁判ではありません。迫害です。これは、法律や真実とは何の関係もない政治的な事件です」と強く非難した。
中国の教会は、何年にもわたってさまざまな弾圧を受けているが、最近は政府側が大型教会を破壊する行為が続いており、今年、さらに迫害が激化する恐れもある。今年1月には、軍警察が山西省臨汾(りんふん)の金灯台教会の内部で爆弾を爆発させ、260万ドル(約2億8千万円)相当の建築費がかかった教会堂を破壊した。
チャイナエイドの創立者で代表のボブ・フー氏は、「金灯台教会で繰り返された迫害は、中国政府が信教の自由や人権を尊重していないことを証明しています」と強調。「チャイナエイドは、国際社会に対し、この教会の爆破を公然と非難すること、そして中国政府がその建物の所有者であるキリスト教徒たちに公正に賠償をし、直ちにこれらの驚くべき教会破壊をやめるように促すよう呼び掛けます」と語った。