世界宗教者平和会議(WCRP / RfP=Religions for Peace)日本委員会の代表者らが18日、ノーベル平和賞を昨年受賞した国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)のベアトリス・フィン事務局長と東京都内のホテルで懇談した。約30分と短い時間だったものの、フィン氏は社会における宗教の役割の重要性を語り、参加者は核廃絶に向けて心を新たにした。
懇談には、WCRP日本委・核兵器禁止条約タスクフォース責任者の中村憲一郎氏(WCRP日本委理事、立正佼成会常務理事)、同メンバーの三宅善信氏(同理事、金光教泉尾教会総長)と三宅光雄氏(同評議員、同教会長)、またキリスト教界から矢萩新一氏(同特別会員、日本聖公会管区事務所総主事)らが出席。NGO「ピースボート」の共同代表でICAN国際運営委員の川崎哲氏も同席した。
ICANは、世界教会協議会(WCC)などが入居するスイス・ジュネーブの「エキュメニカル・センター」に本部があり、WCCを含む世界のさまざまな団体と協力し、核兵器廃絶に向けた取り組みを行っている。ノーベル平和賞は、昨年7月に国連で採択された「核兵器禁止条約」の成立に貢献したことが評価され、贈られた。加盟団体は101カ国468団体(2017年11月現在)に及び、国際的なNGOのネットワークとして機能している。フィン氏は来日中、被爆地となった長崎、広島などを訪問した。
WCRP国際委と日本委はこれまでもICANと協力し、連携を図ってきた。昨年3月には、米ニューヨークの国連本部で行われた第1回核兵器禁止条約の制定交渉会議に合わせ、ICANと合同で『核兵器禁止条約交渉ハンドブック』を発刊した。
懇談では冒頭、中村氏があいさつ。ノーベル平和賞の受賞に祝意を表し、核兵器禁止条約が採択されたことは「人類の未来に一筋の明るい希望をもたらした」と語った。その上で、被爆国である日本が同条約の採択に参加せず、署名しなかったことに対し、遺憾の意を表明した。
この後、出席者のコメントを受けたフィン氏がスピーチし、WCRPの協力に謝意を表した上で「宗教団体は社会で最も影響力のあるファクター」だと語った。今後の取り組みとして、同条約の発効を目指し、加盟国を増やすとともに、条約の参加に消極的な国に核廃絶の必要性を訴え、政策転換を働き掛けていくことが大切だと説明。日本はその重要な役割を担う国だとし、「国際的なネットワークを生かしながら、キーパートナーである宗教指導者の皆さんと、一層、協力して取り組みを進めていきたい」と述べた。
日本キリスト教協議会(NCC)副議長も務める矢萩氏は、「核廃絶に向け、今後も皆さんとともに力を注いでいきたい。核が抑止力になるというが、宗教者の1人としては、信仰や良心こそ抑止力になるのではないかと考える」と本紙にコメントを寄せた。