【CJC=東京】第17回世界エイズ会議がメキシコ市で8月3日から8日まで行われた。2年に1回の会議を主催した『国際エイズ協会』(IAS)は8日、ペドロ・カーン議長の後任にフリオ・モンターネル氏を任命した。任期2年。
IASは、185カ国のエイズ専門家1万人を会員とする独立組織としては世界最大。
モンターネル新議長は、最良の公衆衛生政策を受け入れるなら、信仰を基盤とした組織はHIVとエイズへの対応で重要な役割を果たせる、とENI通信とのインタビューで語った。「私たちは、有効にHIVに応じるために何をなすべきか分かっている。政治的な指導力が不足しているのだ」と言う。
モンターネル氏はアルゼンチンの医師。カナダ・バンクーバーで、キリスト教系の『プロビデンス・ヘルス・ケア』付属のセントポール病院で対策センター所長を務めている。
モンターネル氏は、20年にわたる科学的研究の後、HIV/エイズのあらゆる面に関する膨大な知識が利用出来るようになった、としながらも実用化が「カメの歩み」のように遅い、と警告する。流行病への地球規模での対応は10段階評価では3〜4ポイントに留まっている、地域別に見ると、「北アメリカが7ポイントに近く、ラテンアメリカが5ポイント、アフリカは2ポイント止まり」と言う。
モンターネル氏は『国際エイズ協会』会長としての最重要施策として、「とどまるところを知らない実現ギャップ」に橋渡しを構想している。次に総合防止戦略の推進があり、「流行病根絶に向かう」には防止策を組み合わせなければならない、とENI通信に語った。
ただこれには、感染者が抵抗なく治療を受けられるように、危険な行為を犯罪視することをやめる必要がある、と言う。コンドーム使用の推奨、清潔な注射針の準備、教育も必要と信じている。「私たちには皆、エイズとの戦いに大きく貢献できるものがあり」、宗教関係組織もそうだと言う。宗教関係組織にとっては受け入れられない方策であっても、「一定の領域では、重要な役割を果たせる」と言う。そのためには宗教関係組織が、他の団体と「連帯」して活動しなければならない。少なくとも「彼らが最良の公衆衛生策を妨げない限り、前進できるのた」と、モンターネル氏は言う。
HIVとエイズに関し、全地球レベルでの応答が「向上している」が「なおなすべきことは山積している」とモンターネル氏。流行開始以来初めて感染者数が横ばいになったのは事実だが、3300万人という高止まり状況で、「エイズへの全地球的な応答を誇れるものではない」と言う。「まだまだ努力が足りない」と、モンターネル氏。1人が処置を受けている間に2〜3人がウイルスに感染するのだ。「時間との競争なのだ」と言う。
世界エイズ会議、次回は2010年にウイーンで開催の予定。