南米のペルーとアルゼンチンの一部の州が、宗教改革記念日の10月31日を「プロテスタント教会の日」と制定した。両国は共に人口の大多数をカトリックが占めるが、近年プロテスタントの人口が増え、1割程度にまで成長している。
ペルーのエルコメルシオ紙(スペイン語)によると、同国の議会は19日、10月31日をプロテスタント教会の記念日とする法案を、賛成60、反対7、棄権5で可決した。また、欧州のキリスト教ニュースサイト「エバンジェリカル・フォーカス」(英語)などによると、アルゼンチン西部のブエノスアイレス州議会は9月末までに、同様の法案を賛成多数で可決。法案は政党を超えて支持を得たという。
アルゼンチンの野党連合「カンビエモス」のマルセロ・ダレット同州議員は、法案が州政府からも支持を得たとして歓迎。「プロテスタントの牧師の孫として、私はプロテスタント教会が求めていたこの動きを推進していることに誇りを感じます。これはすべての政治団体によって支持され、政府との協力で行われています」と語った。また、アルゼンチンではこれまで、他の宗教の記念日はあったものの、プロテスタントの記念日はなかったとし、「プロテスタント教会が記念日を持つことは公平なことなのです」と話した。
ペルーとアルゼンチンは共にスペインの植民地だったことから、カトリックが人口の8割ほどを占めている。しかしペルーでは、プロテスタントの人口は国全体の人口増加率よりも速い勢いで増えており、最新の国勢調査(2007年)では約13パーセントとなっている。また、アルゼンチンも1980年代以降、プロテスタントの勢いが増し、現在は人口の約9パーセントを占める。
南米ではこの他、チリが2008年に同じく10月31日を「福音派とプロテスタント諸教会の国家記念日」と制定している。チリのプロテスタント人口はさらに多く、12年の国勢調査によると、カトリックが約67パーセントで最も多いが、プロテスタントも約18パーセントを占める。
今年はマルティン・ルターによる宗教改革から500年周年となる記念の年で、世界各地でさまざまな行事が開催されている。なお、南米諸国では多くの場合、「Evangélica(福音派の、福音主義の)」と言うとき、福音派に限らず、伝統的な教派からペンテコステ派までを含んだプロテスタント全体を意味する言葉として使われている。