米西部ネバダ州ラスベガスの中心部で現地時間1日夜(日本時間2日午後)、ホテルの32階から屋外コンサート会場に向けて銃が乱射され、少なくとも59人が死亡、527人が負傷する事件が発生した。この米国史上最悪の銃乱射事件を受け、教会指導者たちは哀悼の意を伝えるとともに、犠牲者や遺族のために祈るよう呼び掛けている。
警察は、ネバダ州在住のスティーブン・パドック容疑者(64)を銃撃犯と特定。パドック容疑者は警察が突入する前に、ホテル「マンダレイ・ベイ」の32階にある部屋ですでに自殺していた。動機はまだ明らかになっておらず、当局者はこれまでのところ、事件を「テロ」と表現するのを控えている。
ソーシャルメディアに投稿された動画には、ラスベガスの大通りにある会場で行われていたカントリーミュージックの音楽フェスティバルに集まった2万2千人に向け、自動銃が乱射される様子が映っている。乱射は、歌手のジェイソン・アルディーンの演奏中に起こった。
警察は、パドック容疑者が9月28日から滞在していた部屋から、ライフル銃など少なくとも16丁の銃を発見した。
ローマ教皇フランシスコは、救助活動を行う救急隊の働きをたたえるとともに、事件を「無分別な惨劇」として、撃たれた人々に憐(あわ)れみを示した。
バチカン(ローマ教皇庁)国務長官のピエトロ・パロリン枢機卿は、ラスベガスのヨセフ・ペペ司教に、教皇が「警察や救急隊の努力を称賛し、負傷者と死者全員のために祈ることを約束し、犠牲者たちを全能の神の慈悲深い愛に委ねる」と述べたことを伝えた。
ドナルド・トランプ米大統領の個人的な相談相手となっているキリスト教指導者たちも、教皇に続いてメッセージを発表し、銃乱射は「恐ろしい邪悪な行為」だと非難した。
ペンテコステ派のテレビ伝道師であるポーラ・ホワイト氏は、「私は、この恐ろしい邪悪な行為で悲しんでいるすべての犠牲者と遺族、友人、そしてラスベガス市民のために祈っています。このような痛みと混乱の中にあって、皆さんが神の愛に触れられ、私たち全員が皆さんの心に寄り添っていることを感じてくださいますように」とコメント。「ラスベガスの皆さん、私たちは皆さんを力の限り支えます。私たちの愛と心遣いのすべては、皆さんのものです」と続けた。
全米ヒスパニック・キリスト教指導者会議(NHCLC)会長のサミュエル・ロドリゲス牧師は、米国の銃規制法に関する今後の議論を意識し、「今は政治の時ではなく、祈りの時」だと語った。
「今は分裂の時ではなく、神に懇願する時です。心を合わせて全員で膝をかがめ、この惨劇で命を落とした方々の遺族のため、また生きるために戦っているすべての方々のために、力の限り平和を求めて祈ります」
第一バプテスト・ダラス教会の主任牧師であり、トランプ氏の主要な相談相手の1人でもあるロバート・ジェフレス氏も同様のメッセージを語った。
「今日は米国史上最大の銃乱射が起きた悲劇の日として記憶に残る1日です。また今日は、民主党も共和党もありません。保守もリベラルもありません。私たちはすべて米国人として1つにされています」
「心を合わせて、この困難の時に神に叫びます。今は大きな国家的苦難の時です。私は全米の牧師や宗教指導者が、地域社会に祈りと思いやりを呼び掛けるよう求めます」
「国家祈祷日」会長で南部バプテスト連盟(SBC)前議長のロニー・フロイド牧師もジェフレス氏に続き、犠牲者のために祈る全国的な呼び掛けを行った。
「ラスベガスの無実の方々に対する常軌を逸した恐ろしい行為の故に、私たちは即座に祈らなければなりません」
「イエス・キリストの平安が、愛する人を失った方々と共にありますように。ケアを受けている方々のために、そしてすべての第1応答者(緊急対応者)のために、私たちは祈っています」
大衆伝道者のフランクリン・グラハム氏も、被害者のために祈っていると語った。
「昨夜、ラスベガスで起きた銃乱射事件で亡くなられた方々の遺族と負傷者のために祈ります」
SBC倫理宗教自由委員会のラッセル・ムーア委員長は、「ラスベガスからの報道には、ぞっとさせられます。被害者とラスベガス市のため、また、予後のために奉仕される皆さんのために祈っています」とコメントした。