ローマ教皇フランシスコは、1980年代に設立された既存の研究所を基盤として、結婚と家庭の科学に関する研究所を再設立した。
バチカン(ローマ教皇庁)は19日、「結婚と家庭の科学のための教皇庁立神学研究所ヨハネ・パウロ2世」の設立を発表した。先々代の教皇ヨハネ・パウロ2世は1981年に、「結婚と家庭の研究のための教皇庁立研究所ヨハネ・パウロ2世」を設立しており、新研究所はこれを基盤に再設立され、最近のカトリック教会の研究を反映させるという。
バチカン放送(英語)は、「教皇フランシスコは、1980年の家庭に関するシノドス(世界代表司教会議)後に設立された最初の研究所が行った貴重な業績に言及しながら、2014年と15年のシノドスによって、カトリック共同体が応答を求められている新しい司牧的挑戦に対する自覚が新たにされた、と述べている」と報じた。
教皇は、今日の人間学的・文化的な変化により、過去の司牧的、宣教的な実践だけではもはや対応できない現状があるとし、多様で分析的なアプローチが必要だとしている。
同放送によると、新研究所は旧研究所と同様、教皇庁立ラテラン大学と共同で作業を進め、バチカン教育省や教皇庁生命アカデミー、信徒・家庭・いのちの部署を通して、教皇庁と緊密に連携していくことになる。また新研究所には、結婚と家庭の科学に関する学位を取得できる課程が設置されることになる。
カトリック系ニュースサイト「クラックス」(英語)によると、新研究所の所長となるビンチェンツォ・パリア大司教(イタリア)は、故ヨハネ・パウロ2世の偉大な構想の「再開と拡大」だとして、新研究所の設立を歓迎。新研究所を神学研究所にするという決定については、教皇が神学研究を、秘跡と道徳に関わる神学にのみ重きを置くものから、聖書、教義、歴史、さらには現代の諸問題を考慮に入れるものまで、その範囲を拡大しようとしていると語った。
パリア大司教によると、現時点では、既存の研究所に勤める教授らは留任し、今後拡張されるカリキュラムに応じて新しい教授陣を加える方針だという。
今月初旬に書籍として出版されたフランスの社会学者、ドミニク・ウォルトン氏との一連のインタビューで、教皇は結婚の定義に関するカトリック教会の立場を再確認し、結婚は1人の男性と1人の女性との間に成立するものであり、「それを変更することはできない」し、それが「当然のこと」だと述べている。