メキシコ中部で19日午後1時過ぎ(日本時間20日午前3時過ぎ)に発生したマグニチュード(M)7・1の大地震から1日が経過し、死者数は230人を超えた。約2週間の間に立て続けに起こった大地震に、政界と宗教界の指導者らは神の助けを求めている。
住民の4割が停電状態で取り残された首都メキシコ市内では、救助隊員らが夜通しで被災者を捜索した。ミゲル・アンヘル・マンセラ市長は、市内の44カ所で建物が倒壊したと明らかにした。
バチカン放送(英語)は、約2週間前にもM8・2の大地震に見舞われたメキシコ国民に対し、ローマ教皇フランシスコが精神的一体と祈りを表明したと報じた。メキシコ南部を襲った7日の地震では、沿岸地域を中心に90人が亡くなった。
教皇は20日、バチカンのサンピエトロ広場で行った一般謁見(えっけん)で、「ここにおられる皆さんの中には、メキシコ人の方々がたくさんおられます。このたびの地震は死傷者や物的損害をもたらしました。この痛みの中にあって、私の思いはメキシコの全国民と共にあります」と述べ、「全能なる神が、亡くなられたすべての方々を歓迎してくださるよう祈ります」と続けた。
ドナルド・トランプ米大統領は19日、自身のツイッターに「神がメキシコ市の方々を祝福してくださいますように。私たちの心は、今もこの後も皆さんと共にあります」とコメント。米国務省は声明(英語)で、「近隣諸国から援助要請があれば、支援を提供する用意がある」と表明した。
キリスト教国際支援団体「ワールド・ビジョン」(英語)の緊急連絡担当マネージャーを務めるビクター・マルチネスさんは、地震発生時にメキシコ市内にいた。
「壁を伝って振動音が聞こえたので、私は階下に向かいました。今回の地震は金曜日(7日)の地震に比べて時間的には短かったものの、もっと強い揺れを感じました。まるで、床が飛び跳ねているように感じました。市民の皆さんはとても緊張していました。その後、私はおいの安否を確認するため、学校まで車を走らせました。大勢の人が建物を出て、学校にいる子どもたちを迎えに行くのが見えました。学校に行く途中、道路の数カ所に地割れがありました。地元のニュースで倒壊した建物があると聞きましたが、どの建物が倒壊したのか、確かなところは分かりません」
ワールド・ビジョンのメキシコ国内ディレクターであるシルビア・ノボアさんによると、ワールド・ビジョンは、地震で崩壊した建物のがれきの除去を支援するスタッフを配置しているほか、児童や家族への援助を他の機関と調整している。
「メキシコ市だけでなく、周辺の農村部や都市部の状況を調査するため、政府と緊密に協力していきます」
ボランティアの救助隊員であるペドロ・セラーノさん(29)はAP通信(英語)に、崩壊した学校で生存者を救出するため、「穴を掘り、腹ばいになって教室に入りました」と語った。
「私たちは、崩壊した教室内にどうにか入ることができました。椅子や木製のテーブルが幾つか見えましたが、次に目にしたのは1本の足でした。私たちががれきを動かすと、少女1人と大人2人(女性1人と男性1人)が見つかりました」
セラーノさんが救出活動を行った学校では、25人の遺体が回収され、そのうち4人は子どもだったという。
■ 地震の影響で崩壊する建物