多くの人が、ジョーディン・グレースという3歳の女の子の悲話に心を打たれた。この女の子は、大型ハリケーン「ハービー」による洪水に襲われた米テキサス州ボーモントで、息絶えた母親にずっとしがみついて水面に浮いていたのを救助されたのだった。ジョーディンちゃんを支援しようと、すでに多くの寄付が集まっている。
ジョーディンちゃんの母親、コレット・サルサー(41)さんは看護師で、誰もが認めるクリスチャンだった。彼女はその日、一人娘のジョーディンちゃんを助けようと、神に必死に祈り続けていた。
米ニューヨーク・タイムズ紙(英語)によると、ジョーディンちゃんは8月29日に救助され、その翌日ボーモント病院で憔悴(しょうすい)しきった状態から回復すると、「ママはずっと祈っていたの」と、親戚のアンティオネット・ローガン(38)さんに語った。
ローガンさんは、「ジョーディンは、母親と一緒にしばらく汚れた水の中に入ったと言っていました。母親が亡くなったのは悲劇ですが、ジョーディンが助かったのは奇跡です」と語った。
自分の子どものために自らを犠牲にしたサルサーさんの感動的な話に、多くの母親たちが、今流行のクラウドファンディングサイト「ゴーファンドミー」(英語)に、涙ながらのメッセージを書き込み、あふれんばかりの支援を表明した。
ゴーファンドミーを通してジョーディンちゃんのために寄付をした1人、アンドレア・ジェラルズ・テイラーさんは、「ジョーディンちゃん、お母さんが亡くなったからといって、あなたのお母さんの愛は終わりませんでした。私たち母親は皆、あなたのことを愛しています。将来、お母さんが期待した通りの立派な大人になってくださいね」と投稿した。
サルサーさんが亡くなったことを悲しんでいるいとこの1人、シルビア・アリソンさん(24)は、自身のフェイスブックに次のように語った。
「私や私の家族のことを気にかけてくれたすべての人に感謝します。私たちは元気にしていますし、ジョーディンも元気です。今もハービーがもたらしている災害と洪水に伴う問題を克服していこうとしています。状況が落ち着き次第、メッセージをくださった方々や救援を申し出てくださっているすべての人のために、お返事したいと思っています」
ボーモント警察によると、サルサーさんがジョーディンちゃんと一緒に洪水に巻き込まれたのは、車を運転している時だった。サルサーさんは駐車場に車を入れたが、そこで車が動かなくなり、しばらくしてジョーディンちゃんと一緒に車を降りた。しかし、その途端に洪水に押し流されてしまった。
警察が発見したとき、サルサーさんの意識はなく、ジョーディンちゃんはまだ生きていたものの、低体温状態だった。サルサーさんは死亡が確認され、ジョーディンちゃんは病院に運ばれた。
ボーモント警察の広報担当であるキャロル・ライリー巡査は、米ピープル誌(英語)に、発見時の状況を次のように話している。
「2人はしばらく水中にいたのですが、サルサーさんは確実に娘の命を救いました。娘は母親にしがみついていました。母親は娘を水から上に出し続けようと最善のことを行いました。娘がリュックサックを背負っていたことも幸いしました。仰向けになって母親にしがみつくことができたからです」