「私にもAさんを紹介してください!」。新日本プロレス関係者N氏との打ち合わせ中、Aの話になり、「女性ディレクターに、彼を紹介しようと考えている」と言われた瞬間、不意に口を突いて飛び出しました。柄にもなく大胆な発言を放ってしまったのです!
すると、「じゃあ、今度の木曜日、皆で食事するからおいでよ」と、今までとは一転、すぐ会う機会ができてしまったのです! 立て続けに会う機会を逃すことがなかったら、こんな大胆発言をすることもなかったと思います。一連の流れにおいて、「見えない世界の力」が働いていたのかもしれません。
「運命の木曜日」までは1週間もありませんでした。「少しの期間しかなくても、頑張って、ちょっとでもきれいになりたい!」と思うのが“乙女心”・・・そこで、肩より長かった髪をバッサリ! 超ベリーショートにしたのです。失恋したときに髪を切る、と言いますが(^_^;)私の場合は「新しい始まり」を予感して、でした。
食事会当日、天候は小雨・・・。集合場所の四谷駅に現れたAは、黒のライダース・ジャンパーのファスナーを上までキッチリ締め、派手なドレッドヘアにミスマッチな、インテリ系の銀ブチメガネ・・・と、ツッコミどころ満載の出で立ちでした(笑)。自己紹介もしないまま、とりあえず予約を入れた店へと向かいました。
その時、傘を持っていなかったAに、自然と私が差し掛ける形になりました。とてもシャイで口数の少ない人だと聞いていた通り、非常に恐縮して、話し掛けてくる気配も、目線が合うこともないまま、しばらく歩きました。そこで、会話のきっかけを作ろうと、「目の方は大丈夫ですか?」と聞くと、「えっ?! あぁ、はい・・・ 」と、ちょっと驚いた様子で答えたものの、再び無言・・・そこで、「舞台の千秋楽をN君たちが見に来てくれたとき、目の検査で病院に行かれたと伺っていたものですから。ご回復されてるようでよかったです」と言ったときでした。Aが突然、「えっ?! えっ!?・・・えっ?!舞台?! もしかして、あなたが佐伯玲子さん?!」と、驚いたように私の顔を見るではありませんか!
「はい、そうですけど・・・」「えーーーっ!! ウソ!! 本当に佐伯玲子さんなの??!! 想像していた人と全然違う!!」。シャイで無口なキャラはどこへやら、「俺、もっとブル中野みたいにデッカくて怖い人だと思ってた~(マジマジと私の顔を何度も見返しながら)・・・こんなきれいな人だとは、思ってなかったなぁ~」と、こちらが恥ずかしくなるような大胆発言を繰り出したのです!
実は・・・Aは、私が出演していた「鶴光の噂のゴールデンアワー」(ニッポン放送)のファンで、私のことをよく知っていたのです! しかし、私がテレビによく出ていた頃に、武者修行で海外遠征に行っていたので、顔は知らなかったのです。帰国後、合宿所を出てしばらくの間、実家の千葉から上野毛の道場まで通う車中で、いつも番組を聞いていたそうで、番組内で鶴光師匠が「大魔神玲子」「チェーン持って暴れております」と紹介し、女子レスラーキャラだったことに加え、当時は忙しさで声を潰し、女版「ラッシャー木村」声だったことがよく合って、Aの想像の中で、私は「ものすごいモンスター」と化していたのです(笑)!
「今日、佐伯玲子が来るって聞いていたのに、いないじゃないか!」と、残念に思っていたというのです(^_^;)・・・ありがたい「プラス効果」でした。下手に「きれいな人」などと、お世辞で過大宣伝されていたら、引き算、引き算、また引き算になっているところでした(^0^;)「神様。私をAさんの想像の世界で“モンスター”にしてくださり、ありがとうございます!!」と、感謝したものでした♪
1次会で隣同士に座った私たちは、演劇の話題で盛り上がりました。特に「つかこうへい」作品が好きで、よく見に行っていたらしく、近々上演される事務所の先輩「伊藤かずえ」さんが出演する「宮本亜門」演出の舞台を、一緒に観劇に行こうという話にまで発展しました。想像もし得なかった急展開に、驚く間もなく2次会へ。そこはオシャレなカラオケルーム・・・私は、芸人の「性(さが)」を炸裂(さくれつ)させる出来事を、つい、やってしまったのです!! (つづく)
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