米国の中心的な福音派神学機関であるフラー神学校が、入学者の減少により、一部の地方キャンパスを閉鎖する。その一方で、オンラインで授業を受ける学生はこの数年で急増し、最近ではオンラインのみで1年に6500人近い入学者が与えられている。
キャンパスの一部閉鎖の知らせは17日、卒業生宛の電子メール(英語)で発表された。フラー神学校は、ロサンゼルスに隣接するパサデナにメインキャンパスを置き、それ以外にも7つの地方キャンパスを持つ。このうち、北西部(ワシントン州シアトル)、ベイエリア(カリフォルニア州メンローパーク)、オレンジ郡(同州アーバイン)の3つキャンパスを閉鎖する。また、アリゾナ・キャンパス(アリゾナ州フェニックス)では、牧会学修士(MDiv)、神学修士(MAT)、神学宣教学修士(MATM)、 異文化研究修士(MAICS)の学位プログラムを廃止する。
一方、オンラインによる遠隔学習の発展は著しい。最近では、1年に260コースをオンラインで提供し、入学者はオンラインのみで6500人に上る。オンライン入学者の増加と、地方キャンパスの入学者の減少について、ジョエル・グリーン学務部長は、次のように述べている。
「オンライン入学者の大幅な増加は、地方キャンパスの入学者の減少と対応しています。一例を挙げると、冬学期では2013年〜17年の間に、オンライン入学者は50パーセント近く増えましたが、地方キャンパスの入学者は30パーセント減りました」
「この地方キャンパスからオンラインへの移行は、ある課題をもたらします。その中で最も重大なことは、私たちの幾つかの地方キャンパスにおいて、真の学習コミュニティーを育成するのに十分な学生を集めるのが難しくなっていることです。この困難は、地方キャンパスの財政的持続可能性に悪影響を与えました」
マーク・ラバートン学長は、「新しい出発に向けて改革を行っている」とする一方、フラー神学校の指導層は、キャンパスの一部閉鎖について「喪失感」を感じ、悲しんでいることを明かした。
「すべての人がオンラインのコースのみを好んでいるわけではない、ということを認識するのは重要なことです。地方キャンパスは、単に教室がある場所ではないということも大切なことです。(各地で築いてきた)友好関係と宣教団体との協力は、私たちの地方キャンパスの働きのかけがえのない一部です。これは、各キャンパスの閉鎖をさらに痛ましいものとするものです」
3つの地方キャンパスの閉鎖と、アリゾナ・キャンパスの学位プログラムの一部廃止については現在、神学校協会(ATS)の承認を待っている状態だが、承認されれば2019年9月30日から発効される。その後は、パサデナ、テキサス(同州ヒューストン)、フェニックス、コロラド(同州コロラドスプリングス)の4つのキャンパスとオンラインで授業を提供することになる。