18人の青少年に対する性的虐待で有罪判決を受けた英国国教会の元主教、ピーター・ボール氏(84)の事件に絡み、元カンタベリー大主教のジョージ・ケアリー氏(81、在位1991〜2002年)が、オックスフォード教区の名誉補佐主教を辞任した。同教会はボール氏の性的虐待についての独立調査委員会を設置し、今月発表された報告書(英語)は、ケアリー氏の責任も追及していた。ケアリー氏は、報告書でなされた自身に対する批判を受け入れ、被害者らに謝罪した。
ケアリー氏は声明で、「私はピーター・ボール氏の抗議を信じて、被害を受けた若者や少年たちをほとんど信じませんでした」と述べ、ボール氏を虐待容疑の監視リストに入れなかったことを後悔していると語った。「私は自分に対してなされた批判を受け入れます。私はピーター・ボール氏の被害者の方々にお詫び致します」
現カンタベリー大主教のジャスティン・ウェルビー氏は、報告書が出された後、ケアリー氏に、調査結果に照らして自身の地位に留まるべきかどうかを検討するよう依頼していた。
「信仰の虐待」と題された報告書は、ボール氏に対する英国国教会の取り扱いに非常に批判的だ。ボール氏は、1977年から92年にかけ、当時17〜25歳だった青少年18人に対し、性的虐待を行ったとして、2015年10月に有罪判決を受け、禁錮2年8月を命じられた。
ボール氏の有罪が確定した後、ウェルビー氏は独立した調査を実施するよう命じていた。独立調査委員会がまとめた報告書は、▽被害者に対する適切な支援、▽主教の指導的役割、▽ガイダンスの強化、▽予防手段としての懲戒処分の有効性など、英国国教会に対して11の提案をまとめている。
独立調査委員会の座長を務めたモイラ・ギブ氏は報告書の序文で、「この報告書は、20年以上にわたって、多くの少年たち、男性たちを虐待したピーター・ボール氏の深刻な性的犯罪を考察しています。ボール氏の性犯罪はそれ自体で衝撃的ですが、英国国教会が彼の不祥事に対して適切に対処することを怠ったため、長期にわたってさらに悪化しました」と述べている。
また、「ボール氏の優先順位は、自分を守ることと、自己宣伝をすることでした。それで、彼は被害者たちを中傷しました。英国国教会は彼が傷つけた人々を助けたり、他の人々が被害に遭わないように安全を保証したりするよりも、むしろボール氏と共謀しました」と、教会の対応を批判している。
オックスフォード主教のスティーブン・クロフト氏は26日、ケアリー氏の辞任を受け入れ、ギブ氏の提案を実行に移すことを誓った。
「他の多くの人々と共に、私は長年隠されていたピーター・ボール氏が犯した虐待に関するモイラ・ギブ氏の報告書を読んで、深く動揺しています。私は、虐待の被害者と、彼らに必要なケアと支援を提供することに注意が向けられ続けることを望んでいます」