昨年、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産暫定一覧に正式登録され、本登録を目指している「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」について、その構成資産の一つである堂崎教会を持つ五島市では、同教会近くにある教会風トイレが「デザインが奇抜で景観を損ない、世界遺産登録の支障になる恐れがある」として、取り壊しやデザイン変更を検討していることがわかった。読売新聞が伝えた。
同紙によると、「景観を損ねる」とされているトイレは、教会から約300メートルの駐車場近くにあり、同市が観光振興を目的に2000万円をかけて05年3月に完成させたもの。茶色を基調とした鉄筋コンクリート造りの建物で、アーチ型の入り口、半円形の窓など、外見はイラストで描かれるような「教会のイメージ画」といった印象。
一方、堂崎教会は長崎県の有形文化財として指定されており、「五島カトリックの総本山」とも称され、長く厳しい弾圧を絶え抜いた五島キリシタンの受難と勝利のシンボルとなっている。1908年(明治41年)に現在の赤レンガ造りの教会が建てられ、五島列島最古の洋風建造物である。
世界遺産の審査では、その構成遺産のほかに周辺の景観も重視され、これまで周辺景観の悪化で登録抹消が取りざたされるようなケースがあっただけに、同市は来年度にも修景計画を策定し、トイレの取り壊しやデザイン変更などを行うという。