新宿福興教会牧師の菅野直基氏が代表を務める「路傍伝道ネットワーク」による路傍伝道が15日夜、新宿駅東口で行われた。ここは駅の利用客の多さでは世界一といわれるが、月曜日の夜だけあって仕事帰りのサラリーマンが目立つ。
「新宿の皆さん、こんばんは。これから皆さんはどちらに行かれますか。人間はいつか神のもとへ帰ります。信じれば、永遠の命を得ることができます」
「あなたの心を満たすものは何ですか。お酒ですか。たばこやお金、薬ですか。主イエス・キリストはあなたの心を本当に満たしてくださるお方です」
そう力強く語る菅野氏は、20代前半からこの地で路傍伝道を続けている。
今回は福生発祥のタンバリン賛美チームも合流した。神学校を卒業した高木求さんが中心となって結成した伝道グループ「ラブコミ」も現在、路傍伝道ネットワークに加わって活動している。
「音楽はとても効果があります。トラクト配布や聖書配布だけでは、どうしても限界がありますね」と菅野氏。
今回、新宿ならではの出来事に遭遇した。皆で賛美をし、参加者が福音を伝えているすぐ前に、韓国人の観光客が大勢座っていたのだ。韓国への留学経験のある菅野氏はすかさずハングルであいさつし、「神様はあなたを愛しておられます」と語り掛けた。彼らもすぐに反応し、ある人は苦笑し、ある男性はうなずいていた。
待ち合わせをする人の中には、中国圏、英語圏の人も多く、「今後、簡単なあいさつだけではなく、具体的に彼らにフィットする言葉を使ってメッセージを伝えていきたいですね」と、米国にも留学していた菅野氏は語る。聖霊が降臨した時のエルサレムのように、世界宣教がここでできてしまうのだ。「彼らがわたしたちの言葉で神の偉大な業を語っているのを聞こうとは」(使徒2:5~11参照)
ただ、ペンテコステの日には「ペトロの言葉を受け入れた人々は洗礼を受け、その日に三千人ほどが仲間に加わった」が(41節)、この路傍伝道ですぐに大勢の人が救いを求めてくることはあまりない。それでも、「福音の種をまき続けること」が使命だと考えて続けているのだ。トラクトを手にする人は実際に多くいて、それを読んでいる人も見られた。菅野氏によると、路傍伝道をしているその場でイエス様を受け入れた人は今まで100人は超えているという。
この日参加したメンバーは、学生や社会人、アメリカ人宣教師も含めて16人。
恵泉キリスト教会みどり野チャペル会員(茨城県牛久市)のE(女性)さんは言う。「教会の弟子訓練を通じて路傍伝道に関心を持ちました。菅野先生から『来られないとは思いますが、いかがでしょうか』とのお誘いに導かれたと感じます。とても緊張していますが、また続けて参加したいと思っています」
参加2回目で、主にトラクト配布を行っていた女性は、「やはり1人でも多くの方に福音を伝えたいですね」と笑顔で話してくれた。聖書キリスト教会(東京都練馬区)会員で、夫がJTJ宣教神学校を通じて菅野牧師と知り合ったという。
「参加は3回目です」とうれしそうに答えてくれたのは、川口キリスト教会(埼玉県川口市)に通うマレーシア出身の女性。「路傍伝道では、ある人は賛美し、また祈りに専念する人もいます。それぞれの役割がありますね。私はいつも祈りながら伝道をしています」
「ラブコミ」の高木さんが言う。「僕は子どもの頃に毎朝、朝顔の観察日記を書いていました。早く大きくなるといいなと、愛を込めて育てました。花にもいろいろあるように、人間もさまざまです。イエス様は、花と同じように私たちを育て、僕たちのそばにいてくださいます。本当の愛を育んでくださるのです」
路傍伝道ネットワークはフェイスブックで情報を公開している。また、純粋な超教派的な働きとして、以下のことに最大限配慮して取り組んでいる。
「送り出してくださる牧師先生、教会への感謝。ネットワーク内のお金の貸し借り、信仰や価値観の違いに対する中傷、ビジネスや迷惑行為、教会批判につながる言動が起きないようにお願いしています」(菅野氏)