米キリスト教調査会社「バーナグループ」は最近、米国のクリスチャンの多くが非聖書的な世界観を取り入れているとする報告(英語)を発表した。
サミット・ミニストリーズと共同で実施した調査によって、バーナグループは、「熱心なクリスチャンの間に、非聖書的な世界観に見られる考えに対して、強い賛同があることが分かった」としている。調査に基づけば、信仰を重要なものと考え、教会にも定期的に通っている米国のクリスチャンのうち、「聖書的世界観」を持っていたのはわずか17%だけだったという。
調査によると、熱心なクリスチャンの10人中4人近く(38%)が、イスラム教の一部の教えに共感しており、61%が新興のスピリチュアリティーに根差した考えに賛同している。また、54%がポストモダニストの見解に共鳴し、36%がマルクス主義に関連した考えを受け入れ、29%が世俗主義に基づく考えを信じているという。
この傾向は若者の間で特に顕著で、若者がこれらの考えを受け入れる可能性は年配者の8倍以上だった。また、男性が女性よりも、都市部の住人が農村部の住人よりもこれらの考えにオープンだった。
例えば、熱心なクリスチャンの10人中約3人が、「すべての人々は同じ神か、霊に祈っている。たとえ彼らがその霊的存在をどのような名前で呼び掛けていたとしても」という見解に強く賛同している。3分の1はまた、カルマ(業=ごう)という東洋の考えに基づいた「善を行えば善を受け、悪を行えば悪い結果を受ける」という考えに強く賛同している。
5人のうち1人が、世俗主義者の立場である「意味と目的は、できる限り多くの収入を得ようと一生懸命に働くことによって得られ、それにより人生を最大限に生かすことができる」という考えを信じている。また、4分の1(23%)が「善悪はその人が信じていることに依存している」という、ポストモダニズムと関連した見解に強く賛同していた。
一方この調査では、「個人的な財産は貪欲と嫉妬を助長する」(11%)、「個人より政府が、誰もが公平な分け前を得るのに必要なだけの資産を管理すべき」(14%)、「政府が任せれば、企業はたいてい正しいことをする」(15%)といった意見に賛同する人々を、マルクス主義的な傾向がある人々として分類している。
この調査の上級統括責任者であるブルック・ヘンペル氏は、「私たちはこれまで、米国民の間で、しかも教会の中でさえ、多元主義や相対主義、道徳的衰退が広がていることを目撃し、それを報告してきましたが、今回の調査は、これらの(非聖書的な)信仰が、キリスト教信仰に積極的に関与している人々の間でどれほど蔓延(まんえん)しているかを顕著に示しています」と語った。
ヘンペル氏はまた、「競合するさまざまな世界観に関する挑戦は、これらの世界観の中にはキリスト教の教えと似ている部分があり、一部の人々はこれらの考えが聖書の真理の歪曲であるということを理解しないまま認識し、受け入れてしまうことがあり得るということです」とコメント。「教会やその教師、またキリスト教思想家たちにとっての召命は、クリスチャンが彼ら自身のイデオロギーに落ち着いてしまう前に、彼らが一般的な信仰や考えを詳細に分析する手助けをすることなのです」と語った。