ナイジェリアでは近年、イスラム教徒を主とする遊牧民「フラニ族」の残虐行為が増加し、同国で猛威を振るうイスラム過激派組織「ボコ・ハラム」よりも懸念されている。しかし、そのフラニ族でこれまでに、400人以上がキリスト教に改宗し、さらに7人が按手(あんしゅ)を受けたという。
ナイジェリアのニュースサイト「デイリー・ポスト」(英語)によると、同国中東部プラトー州にある「ナイジェリア・キリストの教会」(COCIN)のパンヤム教会を牧会するコパー・セボク牧師が4月30日、フラニ族の改宗者を対象とした超教派の全国集会で明らかにした。
この日は3日間にわたる集会の最終日で、セボク牧師はキリストの新しい弟子たちに対し、ナイジェリアの暴力の洪水を食い止めるため、平和の福音を仲間のフラニ族に伝えるよう求めた。また、フラニ族から400人もの改宗者が出たことを引き合いに、同族に「キリストの福音では到達できない」という考えが誤りであることを証明したと指摘。神に憐(あわ)れみを求め、参加者には救われていない人々を永遠の救いのためにキリストに連れて行くよう訴えた。
フラニ族の改宗者の1人、ハッサン・モハメド牧師は、神が彼らにキリスト者としての新しい人生を与えてくれたことに感謝を示した。モハメド牧師は、新しい信仰で武装した彼らは、仲間のフラニ族だけでなく、他のすべての人々にも福音を宣(の)べ伝えると語った。
英BBC(英語)によると、「世界テロ指数」(GTI)は昨年、フラニ族が2014年に1200人以上を殺害し、世界で4番目に多くの人を殺害したグループであると報告している。地元のコンサルティング会社の治安調査(英語)によると、2016年には、襲撃の件数はボコ・ハラムの方が多いものの、死者数についてはフラニ族の襲撃によるものが上回っている。
米オンラインメディア「クォーツ」(英語)は、急増するフラニ族による暴力に、牧草地の急速な砂漠化や、降雨量の低下を含む気候変動が影響していると分析している。こうした気候変動は、フラニ族の放牧地であるナイジェリア北部での家畜の飼育をより困難にしている。
フラニ族が家畜を養うために肥沃な放牧地を南部に求めるとき、そこに住む農民や他の遊牧民との間で激しい衝突が起こる。2016年には数カ月間に、過激なフラニ族の遊牧民が、キリスト教徒と穏健なイスラム教徒800人以上を殺し、少なくとも16の教会を破壊した。今年1月には、キリスト教徒の村を襲撃して10人を殺害し、家屋を破壊するなどしている。
キリスト教人権監視団体「リリース・インターナショナル」は、フラニ族による広範囲な暴力行為が、ナイジェリアのキリスト教徒の苦しみを増加させていると報告している。